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北朝鮮ミサイルの上空通過を追い風に…日本で「敵基地攻撃能力」求める声高まる

登録:2022-10-06 05:10 修正:2022-10-06 08:38
日本の陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾=陸上自衛隊提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の弾道ミサイルが5年ぶりに日本上空を通過し、西太平洋に落下したことを受け、日本政府と自民党では「攻撃能力」の保有を求める声が高まっている。平和憲法が規定した「専守防衛」に反するという問題があるものの、北朝鮮の核・ミサイル脅威を名分に「敵基地攻撃能力」の保有に弾みがつくものとみられる。

 毎日新聞は5日付で「政府・与党は北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したことに危機感を強めており、相手国のミサイル発射拠点などをたたく『反撃能力』(敵基地攻撃能力)の保有を求める声が相次いだ」と報じた。

 自民党の稲田朋美元防衛相は4日、北朝鮮の今回の弾道ミサイル発射は「何か示威行為であったり嫌がらせであったり、技術を発展させるために撃ち込んでいるのだと思う」と述べ、懸念を示した。稲田氏は「(北朝鮮の)ミサイルをミサイルで撃ち落とす防衛のみならず、反撃をしていく能力を持っていないと日本を守ることはできない」」と強調した。佐藤正久自民党外交部会長も記者団に対し、「北朝鮮は(ミサイルを)撃ち落とす能力がないため、自国にミサイルが飛んでくることを警戒している。つまり(敵地攻撃能力を保有すれば)抑止が利く可能性が十分ある」と述べた。

 日本は2003年にミサイル防衛(MD)システムの導入を正式に決定して以来、イージス艦に搭載されたSM3迎撃ミサイルとパトリオット(PAC)3という2段階の防衛体制を維持してきた。敵が日本に向けて弾道ミサイルを発射すれば、海のSM3がまず迎撃を試み、失敗した場合は地上の最終段階でパトリオットがこれを防御する。日本政府はSM3を搭載したイージス艦8隻を運用し、パトリオット3は全国24の部隊に約50基配備されている。

 日本政府と自民党は、今のミサイル防衛システムでは変則軌道、極超音速ミサイルを発射する北朝鮮の攻撃を阻止するのは難しいと見ている。読売新聞は、「北朝鮮が最近発射を繰り返すミサイルは、レーダーやミサイル防衛網をかいくぐることを目的とした低高度・変則軌道が目立つ。ミサイル防衛システムで迎撃が困難なミサイルに核が搭載されれば、脅威レベルは格段に上がる」と指摘した。政府高官は同紙に、日本の防衛力強化を急ぎ、日米韓の協力を基盤に抑制力を高めるしかないと語った。

 日本政府は年末までに国家安全保障戦略などを改定し、自衛隊の「適基地攻撃能力」の保有を認める方針だ。防衛省は敵基地攻撃能力保有のため、従来200キロメートルだった「12式地対艦誘導弾」の射程を1000キロメートル以上に伸ばす作業に取り組んでいる。長距離ミサイルを開発して1000発以上保有し、中国けん制に向けて南西諸島と九州に配備する案を検討しているという。防衛省は長距離巡航ミサイルを、地上をはじめ新たに建造するイージス艦2隻に配備する案も進めている。

 一方、北朝鮮の弾道ミサイル発射について、与党自民党と最大野党の立憲民主党は、衆議院と参議院で非難決議案を採択することで合意した。北朝鮮のミサイル発射をめぐって日本国会が非難決議に乗り出したのは2017年12月以来約5年ぶり。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1061451.html韓国語原文入:2022-10-06 02:32
訳H.J

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