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ウクライナ戦争でのロシアの軍備…たどってみれば欧州と米国が「金づる」

登録:2022-06-15 02:37 修正:2022-06-15 07:51
ロシア、石油やガスの輸出減少にもかかわらず 
開戦後の価格高騰でより大きな収益 
欧州の輸入削減には限界…インドで精油した原産地洗浄分は米国へ
13日、タンカーがロシアのナホトカ湾にあるコズミノ原油ターミナルに停泊している/ロイター・聯合ニュース

 ウクライナ戦争開始以降、米国や欧州などがロシアの石油や石炭などの輸出に対して制裁を科しているが、国際原油価格の高騰により意図した効果が上がっていないことが調査で分かった。

 フィンランドのシンクタンク「エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)」は13日(現地時間)、『プーチンの戦争資金調達:侵略の最初の100日間のロシアの化石燃料の輸入』と題する報告書を発表した。この中でCREAは、ロシアが2月24日から6月3日までの開戦からの100日間で石油、天然ガス、石炭などの化石燃料の輸出によって930億ユーロ(125兆ウォン)を稼いだと明らかにした。比率は原油と石油製品が63%、天然ガスが32%、石炭が5%。

 ロシア産の化石燃料の主な輸出先は依然として欧州連合(EU)加盟国で、全体の61%を占めた。EUは先日、年末までにロシア産の石油の輸入を90%削減することを決めるなど、強力な制裁を約束しているが、まだ効果は現れていない。ウクライナの経済担当大統領顧問を務めるオレグ・ウステンコ氏は「ニューヨーク・タイムズ」に対し「我々はプーチン大統領とその戦争機械の資金源を断ってほしいと全世界に訴えているが、効果が現れるまでに長くかかりすぎている」と述べた。

 化石燃料の輸出で得た「莫大な収益」は、ウクライナを侵略したロシアが戦争を遂行するための重要な資金源となっている。国際エネルギー機関(IEA)によると、ロシアが石油と天然ガスの輸出で稼いだ収益は、2021年のロシア政府の財政の45%を占めた。開戦後にロシアが化石燃料の輸出で得る収益は、ウクライナ戦争で使った資金を十分に賄って余りあると評価される。

 ロシアの化石燃料輸出は、戦争初期の相次ぐ国際社会による制裁により、多少減少する気配を示していた。しかし、それに続くエネルギー価格の暴騰により、輸出量減少効果は直ちに相殺された。ロシアは制裁を回避するために、石油をインドなどに国際相場より30%ほど安く輸出している。それでもロシアの石油輸出の平均単価は昨年より60%高い。

 米国と欧州はロシアのエネルギー輸出を防ぐために東奔西走しているが、ロシアにこれといった打撃を与えられずにいる。EUは開戦後、ロシア産天然ガスの輸入を23%減らしている。にもかかわらず、ロシアのガス供給企業「ガスプロム」の売り上げは、ガス価格の暴騰で1年前の2倍になっている。欧州はロシア産の石油輸入も5月だけで18%減らしている。しかし、代わってインドなどがほぼ同量を購入しているため、石油輸出総量は大きくは変わっていない。

 米国は開戦初期にロシア産化石燃料の輸入を禁止した。だが、オランダやインドなどで精油処理されたものが、いわゆる「原産地洗浄」の効果を得て、何の制裁も受けずに米国に輸出されている。

パク・ピョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1046911.html韓国語原文入力:2022-06-14 12:55
訳D.K

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