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王党派は「親プーチン」、民主派は「親ウクライナ」…分裂が進むタイ

登録:2022-04-14 05:43 修正:2022-04-14 07:43
王室・軍部支持の既得権層、公然とロシア支持 
ソーシャルメディアを活用し親ロシア・親プーチンの「フェイクニュース」も 
青年層などの民主派「反ロシア・親ウクライナを明確にしなければならない」 
「国内の政治状況をウクライナ問題に投影させた結果」
先月24日、タイの首都バンコクのロシア大使館前で、人権団体活動家らがウクライナ侵攻を批判するろうそく集会をしている=アムネスティ・インターナショナルのタイ支部のウェブサイトよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 ロシアのウクライナ侵攻が、君主制維持をめぐり対立するタイの国内政治にまで影響を及ぼしている。君主制維持を主張する王党派と、廃止または全面改革を要求する民主化陣営が相反する立場を展開し、鋭く対立している形だ。

 13日付の「サウスチャイナ・モーニングポスト」の報道を総合すると、いわゆる「黄色いシャツ」と呼ばれる保守王党派は、ウクライナ戦争の開戦初期から、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を積極的に支持している。代表的な君主制擁護団体である「タイ・ムーヴ・インスティテュート」のフェイスブックのアカウントは、ロシアに圧力をかける米国のジョー・バイデン大統領を批判し、「制裁後にロシアの石油輸出はむしろ増えた」とする出所不明の投稿であふれている。

 この団体は、「中立」を求めてきたフィンランドとスウェーデンが、ロシアの侵攻後にNATO加盟を推進すると、「欧州の安定が危うくなるだろう」というロシア側の一方的な主張も連日にわたり展開している。メディアにプーチン大統領を批判する文章を寄稿した著名な学者に対しては、「米中央情報局(CIA)に買収された」と非難したり、「民間人殺害に使われた武器を確認したところ、ロシアではなくウクライナ軍が使用したことが明らかになった」とする「フェイクニュース」を堂々と掲載したりしている。

 親王室・親軍部を自任する人々の態度について新聞は、専門家の話を引用し、「タイの王党派は、自分たちの既得権はもちろん、タイの主権を脅かしうる米国の介入の可能性に神経をとがらせている」とし、「プーチン大統領の権威主義的な態度や、ロシアの伝統的価値と民族主義を強調する姿に共感するのも同じ流れ」だと報じた。

 このような立場は、タイの外交政策にも反映されている。タイは先月2日、法的拘束力がない国連総会のロシア非難決議案には賛成票を投じたが、7日のロシアの人権理事会理事国の資格停止決議案の票決の際には棄権した。当時、国連のタイ代表部は声明を出し、「ウクライナの人道的危機状況について深く憂慮する」としながらも、「国連機構における特定の国家の地位を停止させる問題は、決して軽く処理することはできない」と主張した。

 一方、野党の前進党を中心とする民主化陣営は、ロシアの侵攻を批判しウクライナに対する明確な支持の立場を明らかにするよう求めている。前進党は、プラユット・チャンオチャ現首相の政権獲得のきっかけとなった2014年の軍事クーデターを先頭に立って批判し、タイ刑法112条(王室不敬罪)の廃止を求めてきた。英国日刊紙「ガーディアン」は、ある青年活動家の言葉を引用し、「独裁と対立して戦う方法を学べば、別の場所で同じ闘争をしている人々を理解できるようになる」と報じた。同紙は、現地の専門家の話を引用し、「王党派も民主化勢力も、民主主義と権威主義に対する自分たちの見方をウクライナ問題に投影させている」と指摘した。

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1038762.html韓国語原文入力:2022-04-14 02:01
訳M.S

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