ロシア軍がウクライナ東部と北部地域に兵力を集結させる中、東部戦略地マリウポリで都心掌握をめぐって熾烈な戦闘が繰り広げられている。
ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジヌイ総司令官は11日(現地時間)、マリウポリ市内でウクライナ軍がロシア軍と親ロシア武装勢力の攻撃を阻止し、都心を守り続けていることを発表した。同氏は「市内を守っているウクライナ軍と安定的に連絡を維持している」としながらも、詳しい作戦状況は公開できないと述べた。
親ロシア武装勢力の「ドネツク共和国」の指導者、デニス・プシリン氏は、ロシア軍がマリウポリの港を掌握したと主張したと、CNN放送が報じた。しかしウクライナ側は、これは事実ではないと反論した。現在、マリウポリを守っている唯一の軍隊であるウクライナ海兵隊第36旅団は、ソーシャルメディアを通じて弾薬が足りないと明らかにした。第36旅団は「爆撃機と大砲攻撃を受けており、最善を尽くして阻止しているが、物資不足に苦しんでいる」と伝えた。
ウクライナ内の軍事活動を追跡している米国の「戦争研究所」(ISW)は10日、ロシア軍がマリウポリ都心を周辺地域と断絶させ、都市南西に位置する港と東側の鉄鋼工場を守っているウクライナ軍を孤立させたと分析した。
マリウポリはロシアがウクライナで強制併合したクリミア半島とロシアを陸路で結ぶ中間地点にある主要な港町で、戦略的にも経済的にもウクライナ南部の要衝地だ。ロシア軍は今年2月末の侵攻直後からマリウポリを包囲し、都市の掌握を試みており、この過程で民間人の侵害が急増している。
今月5日、民間人死亡者が5千人を超えたと主張したマリウポリのバディム・ボイチェンコ市長は、死者が1万人を超えたと述べた。現在、マリウポリを離れた状態の同氏はAP通信との電話インタビューで、死者が2万人を超える可能性もあると語った。マリウポリには12万人の住民が飲み水と食糧不足に苦しみながら残っているという。
ロシア軍がマリウポリで化学兵器を使用したという噂が流れているが、ウクライナ当局は確認された事実ではないと発表した。マリウポリのペトロ・アンドリウシチェンコ市長顧問は、ソーシャルメディアで、化学兵器の攻撃はまだ確認されていないと明らかにした。CNNの報道によると、米国防総省も化学兵器の攻撃を確認できず、ロシア軍が暴動を鎮圧するため、化学物質を使用する恐れはあると見ているという。
国連女性機関(UN Women)のシマ・バフース事務局長は同日、ウクライナで女性に対する性暴力が深刻なレベルに達したと警告した。同氏「レイプや性暴力の報告が相次いでいる。正義を実現し加害者の責任を問うために、このような主張に対する独立的な調査が必要だ」とし、国連安全保障理事会に調査を求めた。