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ロシア軍の集団殺害に世界が驚愕…「強く制裁し、責任を問う」

登録:2022-04-05 10:40 修正:2022-04-05 11:39
キーウ地域で少なくとも410人の民間人の遺体を収拾 
住民「ロシア軍、目についた者をすべて撃った」 
ゼレンスキー大統領「ジェノサイド…ロシアはウクライナを抹殺しようとしている」 
米国・ドイツ・フランスなどが追加の制裁を検討
2日(現地時間)、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)付近から撤退した後、キーウ北西部にある都市ブチャの道路に遺体が無残に散らばっている=ブチャ/AFP・聯合ニュース

 まだ冬の寒気の残る今月3日(現地時間)。ウクライナのキーウ(キエフ)都心から北西に37キロ離れた小さな都市ブチャではみぞれが降った。ロシア軍の撤退後に行われたウクライナ政府の調査で掘り出された窪みの中には、黒い袋の中に入れられた数十体の遺体が転がっていた。米CNNのカメラが窪みをより詳細に照らすと、青く変色した遺体の手や靴などが目につき始めた。

 窪みの前にうずくまっていたウクライナ人のウラジーミルさんは、とめどなく涙を流した。彼は妹のドミトリーさんがこの窪みの中に眠っていると確信していた。彼を慰めていた隣家のある高齢の女性は「なぜロシアが私たちをこれほど苦しめるのか分からない。1930年代からウクライナを虐待してきた。わたしたちを破壊し、わたしたちが消えることを願っている」と語った。

 ロシア軍が先月31日に撤退したキーウ近隣地域をウクライナが修復する過程で、ロシアが占領期間中に少なくとも数百人の民間人を殺害したという証拠が出てきている。ウクライナ政府は同日、ロシア軍から奪還した地域で民間人410人の遺体を収拾したと明らかにした。イリーナ・ベネディクトワ検事総長はフェイスブックを通じて、遺体410体を発見し、1~3日に140体についての調査を終えたと明らかにした。ブチャは戦争3日目の2月26日にロシア軍に占領され、これまでウクライナが接近できずにいた。

 虐殺の証拠は都市のあちこちに残っていた。CNNは、ブチャのある教会で集団埋葬地が発見されたと伝えた。住民たちは、ここだけで150人余りが埋葬されただろうと話しており、同都市の市長は埋葬された遺体が300体にのぼる可能性もあると明らかにした。今月2日、ブチャの惨状をいち早く報じたAFP通信は、道路のあちこちで民間人の服装をした遺体を少なくとも22体発見したと報じた。一部の遺体は口を開けたまま死亡しており、手を後ろに縛られたものもあった。ロシア軍によって殺害されたブチャの住民テティアナ・ポマザンコさん(56)の同級生のスビトラナ・ムニッチさんは、ニューヨーク・タイムズに「ロシア軍は目についた人をすべて撃った。テティアナのお母さんが家にいたにもかかわらず、ガス管に向けて銃を撃った」と語った。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国CBS放送とのインタビューで、ロシアが「ジェノサイド(集団虐殺)」を犯しており、ウクライナ国民全体を抹殺しようとしていると主張した。

ウクライナ西南部の海岸都市オデーサ(オデッサ)で3日(現地時間)、人々がロシア軍の爆撃の後、黒い煙が上がるのを見ている=オデーサ/AP・聯合ニュース

 あふれ出る遺体に、国際社会は言葉を失った。各国は「ブチャ虐殺」を批判し、徹底的な調査を主張した。アントニー・ブリンケン米国務長官はこの日、CNNに出演し、集団埋葬された民間人の遺体が相次いで発見されたことについて「このような写真を見ると、憤慨を禁じ得ない」と述べた。彼は、ロシア軍が集団虐殺を犯したと思うかという質問には即答を避け「ロシアは戦争犯罪を犯しており、これを資料にして情報を提供する作業を進めている」と述べた。ドイツのオラフ・ショルツ首相も、ブチャの集団埋葬の写真は「おぞましく、恐ろしい」とし、加害者たちは責任を負わなければならないと述べた。フランスのエマニュエル・マクロン大統領も「ブチャの姿は堪えがたいもので、ロシア当局はこの犯罪に対して答えなければならない」と要求した。アントニオ・グテーレス国連事務総長も「効果的な責任究明を保障するために独自の調査が必須」と明らかにした。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの戦争犯罪を調査するための特別司法機構の創設を承認した。同大統領は同日公開されたオンラインでの演説で「地球上でこのような悪行はロシアの戦争犯罪が最後になるようにしなければならない」と訴え、ウクライナに対する戦争犯罪に加担した人たちを調査するための特別司法機関を認可したと述べた。ゼレンスキー大統領が「ジェノサイド」と主張したのは、国際社会でロシアの集団虐殺疑惑を積極的に公論化しようという意図があるとみられる。しかし、国連安全保障理事会(安保理)常任理事国の首脳を処罰するのは現実的に不可能で、ウクライナが望む「正義」は実現できない可能性が高い。

 おぞましい犯罪容疑が明らかになると、ロシアへの制裁を追加しなければならないという声も相次いだ。ワシントン・ポストは2人の消息筋の話を引用し、バイデン政権がブチャ虐殺に対応して、ロシアと取引する第三者も制裁する「セカンダリー制裁」の実施など、ロシア制裁の強化を論議していると伝えた。ロシアに対するエネルギー依存度が高いドイツでも、強硬な声が出ている。クリスティーネ・ランブレヒト国防長官は、EUがロシア産ガスの輸入を終了することについて話し合わなければならないと述べた。

 ロシアは予想通り、集団虐殺疑惑を否定した。ロシア国防省は声明を出し、「ロシア軍が犯したという『犯罪』を証言するウクライナ政府の写真と動画は、もう一つの挑発にすぎない」と主張し、外交部のマリア・ザハロワ報道官は、国連安全保障理事会にこの問題を議論するための会議の招集を要求した。

シン・ギソプ先任記者、ファン・ジュンボム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1037499.html韓国語原文入力:2022-04-05 02:41
訳C.M

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