「羅昌平が最終陳述で罪を認め、後悔している」
朝鮮戦争での米国に対する中国の抗戦を扱った中国映画『長津湖』を批判する文章を投稿し、戦争の英雄を侮辱した容疑などで起訴された中国のジャーナリストの羅昌平氏(42)が、裁判で本人の容疑を認めたと、中国の裁判所が明らかにした。
3月30日午後、中国海南省の三亜市吉陽裁判所は、ウェブサイトを通じて、この日に羅昌平氏の事件の審理を終える「結審裁判」が行われたと明らかにした。この日、羅昌平氏は最終陳述を行ったが、発言内容は公開されなかった。裁判所は、彼が自らの罪を認めたとだけ短く伝え、まもなく最終宣告が行われる予定だと明らかにした。
中国の著名な調査記者だった羅昌平氏は昨年10月6日、中国版ツイッターである微博(ウェイボー)の本人のアカウントに『長津湖』を批判する39文字の短い文章を投稿したところ逮捕され、裁判にかけられるなど受難を経た。
『長津湖』は、朝鮮戦争の戦闘のなかで中国が最も誇る咸鏡南道の長津湖(チャンジンホ)一帯の戦闘を題材にしている。1950年11~12月、米陸軍の二つの師団が中国軍の包囲作戦に陥り、大きな被害を受けた後、ようやく脱出した戦闘だ。しかし、中国軍の被害も少なくなく、あまりに気候が寒く、十分な衣服の補給を受けられなかった中国軍の相当数が凍死した。中国は彼らを「氷の彫刻部隊」と称し、英雄として扱っている。
巨額の製作費が投じられたこの映画は、昨年の中国の連休である国慶節の期間に封切られ、57億7500万元(約1100億円)という中国歴代最高の興行成績を上げた。米国との対決が激しくなる状況において、愛国主義の雰囲気が一気に高まったことが影響を及ぼした。
羅昌平氏は映画公開6日目の10月6日、本人の微博に「半世紀が過ぎたが、中国の人々はこの戦争が正しかったのかについてはほとんど反省しなかった。当時の“砂の彫刻部隊”が上層部の“立派な決定”を疑わなかったことと同じだ」という文章を投稿した。多くの死傷者を出した軍首脳部の決定を批判し、「氷の彫刻部隊」として英雄視される犠牲者を砂の彫刻部隊と嘲笑する趣旨に読みとれる投稿だった。「砂の彫刻」という言葉は、中国ではおもしろくて無邪気な人をからかう意味で、ネット上でよく使われる。
羅昌平氏の故郷である海南省三亜市の公安局は、文章が投稿された2日後の8日、戦争の英雄と殉教者の名誉を傷つけた容疑で捜査に乗りだした。微博も同じ日、彼が微博の規定を破ったとして、約200万人のフォロワーがいる彼の微博アカウントを削除した。
三亜検察は10月21日に彼の逮捕を承認し、捜査を経て今年2月に彼を起訴した。検察は裁判で「羅昌平が英雄である殉教者の名誉を毀損し、彼の発言は大衆に大きな怒りを引き起こした。極めて悪質な社会的影響力を作りだした」と主張した。
羅昌平氏は、国家発展改革委員会の劉鉄男副主任(当時)の腐敗を暴露し、2013年に「トランスペアレンシー・インターナショナル」の清廉賞を受けるなど、中国の著名な調査記者として活動した。中国メディア「新京報」の先任記者であり、深層報道チームの主筆を引き受け、中国経済週刊誌「財経」の副編集長を務めた。