米国防総省は28日(現地時間)、中国の脅威から本土を防衛することを最優先目標として提示した2022年国家防衛戦略(NDS)を議会に提出した。また、ウクライナ戦争が進行中の状況でも国防費の増額が必要な理由として、中国を主な理由に挙げ、強い牽制の意志を明らかにした。
米国防総省は今回初めて「核戦略見直し(NPR)」と「ミサイル防衛見直し(MDR)」を国家防衛戦略に統合して作成したとし、「戦略的競争相手」である中国に対する警戒を強調する報告書の概要を公開した。米国防総省は同戦略で、米国が目指す防衛戦略の第一目標として「様々な領域で増加する中国の脅威に対抗し、本土を防衛すること」を挙げた。中国を西太平洋地域の覇権に挑戦する勢力とみなしてきた米国が、中国を「本土の安全保障に対する脅威」だと強調した点が目を引く。中国のミサイル能力の高度化など軍事力の強化を意識したものとみられる。
第二目標としては「米国と同盟国、パートナー国に対する戦略的攻撃抑制」を、第三目標としては「インド太平洋地域における中国の挑戦を最優先にし、その次に欧州でのロシアの挑戦を優先させ、必要に応じて紛争で勝利するための準備が整った状態で侵略を抑止すること」を挙げた。最後に「弾力的な統合軍と防衛環境の構築」を提示した。
さらに、米国に対抗する「最重要の戦略的競争相手」に浮上した中国に対しては、「抑止力を維持し強化するために緊急に行動する」という決意を明らかにし、ウクライナを侵攻したロシアに対しては「急激な脅威」と定義した。また、「北朝鮮、イラン、暴力的な原理主義組織の持続的な脅威」に対する対応能力を維持し続けると述べた。
ホワイトハウスは同日、5兆8千億ドル規模の2023会計年度(2022年10月~2023年9月)の予算案を議会に提出した。そのうち最も注目すべきなのは、中国の軍事的脅威の増加などを理由に、今年より4.2%増額(7730億ドル)された国防予算案だ。これは、前会計年度より議会で承認された確定予算では4.2%、ホワイトハウスの予算案基準では8.1%増加したもの。ロイド・オースティン国防長官は「中国の挑戦とロシアの深刻な脅威に対処するため」の装備を獲得し、軍の近代化のために増額が必要だったと述べた。
キャスリーン・ヒックス国防副長官もブリーフィングで中国に対する抑止力の強化を強調し、「中国は国際システムとその中にある我々の利益に挑戦する軍事的・経済的・技術的潜在力を持っている」と述べた。また、「ロシアに侵攻されたウクライナに対する支援拡大も必要だ」と述べた。
米国防総省は予算案の内容のうち、核抑止力の強化も強調した。ヒックス副長官は「核兵器指揮・統制・通信システムを支援し、3大核戦力(大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射ミサイル、戦略爆撃機)の再編に344億ドルを投資する計画」だと明らかにした。新型弾道ミサイルと潜水艦の開発費用も予算案に含まれている。
予算規模は議会の審査過程で拡大する可能性もある。共和党のミッチ・マコーネル上院院内代表は「この危険な時期に大統領の国防予算案は情けないほど少ない」と述べた。また「物価上昇率を考慮した国防部の予算実質増加率は1.5%に過ぎない」とし、「これを5%に引き上げるべきだ」と主張した。