米国のロイド・オースティン国防長官は20日、ウクライナでの進撃の停滞により、ロシアが民間人をも攻撃していると批判した。ただし、ロシアが最近攻撃に用いた極超音速ミサイルは「ゲームチェンジャー」にはなり得ないと評価を下げた。
オースティン長官は米国CBSとのインタビューで「ここ数週間、我々は(ロシアが)故意に町、村、民間人を標的にするのを見てきた」とし「彼(ロシアのウラジーミル・プーチン大統領)がこうした類の行動を取っているのは、彼の作戦が停滞しているためだと思う」と述べた。オースティン長官は「彼は達成しようとした通りに目標を早期に達成できていないため、こうした戦術に依存している」とし、ロシアの行動は「非常におぞましい」と非難した。ウクライナ軍の激しい抵抗で首都キエフ(現地読みキーウ)などの主要都市が速やかに掌握できていないことから、ロシア軍は民間人に対する無差別攻撃を行っているというのだ。
ロシアは、ウクライナ南東部の港町マリウポリで先日、1300人以上の民間人が集まっていた劇場を攻撃したのに続き、400人が避難していた芸術学校にも爆撃を加えた。
オースティン長官は、ロシアが最近発射した極超音速ミサイルについて「こうした兵器に依存するのは、彼(プーチン大統領)がモメンタム(勢い)を再構築しようとしているため」とし「それがゲームチェンジャーだとは考えていない」と述べた。戦争の勢力図には大きな影響を与えないということだ。オースティン長官は「なぜ彼がこのようなことをしているのか疑問が生じうる。精密誘導弾が足りないのか」とも語った。
ロシアは今月18日、極超音速ミサイル「キンジャル」を使用し、ウクライナ西部のイヴァノフランキフスクにあるウクライナ軍の弾薬貯蔵施設を攻撃した。開戦後初の極超音速ミサイルの使用だ。ロシア国防省は、20日にもキンジャルでウクライナ南部のミコライウ地域にあるウクライナ軍の燃料貯蔵施設を破壊したと明らかにしている。
オースティン長官は、ロシアが生物化学兵器を使用した場合について「それは非常に深刻な措置であり、(米国のジョー・バイデン)大統領が言うように、我々はそれを軽く扱いはしない」とし「米国だけでなく国際社会から相当な対応を受けることになるだろう」と警告した。