ロシアのウクライナ侵攻が3週間続き、主要な交戦地域である南東部マリウポリと北部チェルニーヒウなどで民間人被害が続出している。
数十万人が孤立しているマリウポリで、数百人が避難していた劇場が16日(現地時間)爆撃を受けたとAP通信などが報じた。ウクライナ外交部は、ロシア軍がこの劇場に強力な爆弾を落としたとし、これは戦争犯罪だと批判した。マリウポリ市議会は、まだ死傷者の正確な数は確認されていないと伝えた。マリウポリが属するドネツク州のパウロ・キリレンコ州知事はソーシャルメディアを通じて「入り口が残骸で塞がれており、避難した人たちの運命は分からない」と述べた。
これに対しロシア国防省は、ロシア軍はこの劇場を攻撃していないと反論したと、ロイター通信が報道した。ロシア側はウクライナ国家防衛軍所属の極右勢力「アゾフ連隊」が建物を爆破させたと主張したが、具体的な証拠は示さなかった。アゾフ連隊は2014年、東部紛争地域で親ロシア反軍に対抗して戦ったネオナチ武装勢力から出発し、現在は内務部所属の「アゾフ特殊作戦派遣隊」という名前で戦闘を行っている。
米国の衛星通信社マクサー・テクノロジーズが2日前に撮った劇場周辺の衛星写真を見ると、劇場の前と後ろの空き地にロシア語で「子どもたち」という文字が書かれていたと、AP通信が報じた。
マリウポリからザポリージャ方面に移動していた民間人の行列も攻撃を受けたと、ロイターなどが伝えた。ザポリージャ州のオレクサンドル・スタルフ知事は「敵軍が高速道路に沿って移動していた民間人に砲撃を加えた」とし、攻撃を受けた車両の写真と映像をオンラインで公開した。州政府は重傷を負った子ども1人を含め、少なくとも5人が負傷したと発表した。
国際赤十字委員会のペーター・マウラー委員長はこの日、英BBCとのインタビューで、マリウポリの状況は「世界の終わりを迎えたようだ」とし、交戦勢力間の不信のため民間人救出が困難に直面していると述べた。彼は「マリウポリを危険から救う最善策は、休戦交渉のための幅広い政治的対話」だと強調した。
北部の国境都市チェルニーヒウでは、パンを手に入れるために並んでいた市民がロシア軍の攻撃を受け、少なくとも13人が死亡したとBBCが報じた。警察は同日午前、高層ビルが砲撃を受けて崩壊し、民間人被害が発生したと説明した。ロシア軍が占領した南東部の海岸都市メリトポリでは、ロシア軍に拉致されたイバン・フェドロフ市長が、ロシア軍捕虜9人と交換する条件で解放された。
世界保健機関(WHO)は同日、ウクライナの病院と医療施設43カ所が攻撃を受けたことを確認したと発表した。WHOは医療施設がますます攻撃対象になっているとし、ウクライナの医療体系が「崖っぷちに追い込まれている」と指摘した。WHOのマイク・ライアン緊急対応チーム長は、医療施設に対する攻撃が「戦争戦略と戦術の一部になるのは容認できないこと」とし、ウクライナに対する医療支援が急がれると述べた。