ロシア国営放送局で報道関係者の辞任が続いている。ロシアのウクライナ侵略を正当化する報道規制に対する反発と見られている。
ロシア国営放送「チャンネル1」(Channel One)の欧州特派員だったザナ・アガラコワ氏が最近辞任し、ライバル会社「NTV」で30年間働いたワディム・グラスケル氏と、2006年に番組進行役を務めたリリア・ギルデイェワ氏も同日会社を辞めたと、英国BBCが16日(現地時間)付で報じた。彼らの辞任は、「チャンネル1」編集者のマリーナ・オフシャンニコワ氏が自社の生放送中にニュースルームに立ち入り反戦デモを行ってからわずか数時間でなされたという。
かつて「ロシア・トゥデイ」と呼ばれた「RT」でも、非ロシア人報道関係者を含め、多くの人が会社を辞めた。編集長を務めたマリア・バロノワ氏も最近、職を辞任した。同氏は先月、BBCに対し「ウラジーミル・プーチン大統領がすでにロシアの評判を崩し、ロシア経済は死んだ」と述べた。
ロンドン特派員のシャディア・エドワーズ・ダシュティ氏は、ロシアがウクライナを侵攻した日、理由を明かさず辞任し、同日、モスクワで働いていたジョニー・ティクル氏も最近の事件を考慮すると述べ、辞任することを明らかにした。RTで司会者を務めていたフランス人のフレデリック・タデイ氏も、番組を中止した。彼はフランスがロシアと対立している状況で、祖国に対する忠誠心から、番組を続けることはできないと明らかにした。
報道関係者の辞職や報道中止は、公営放送だけでなく独立した民間メディアでも続出している。ロシア政府がウクライナ侵攻後、メディア統制を強化したことで、身の危険を感じたためだ。「TV Rain」で知られた独立放送局「ドーズド」(Dozhd)はロシアのウクライナ侵攻以降、オンライン放送を中止し、多くの報道関係者も安全を理由にロシアを離れた。ラジオ「エコ・モスクビー」(Ekho Moskvy)もロシアのウクライナ侵攻報道に対する政府の厳しい統制と処罰の脅威を理由に放送を中止した。
ロシアの放送局を離れるのはジャーナリストだけではない。ロシア最大のトーク番組「イブニング・ウルガント・ショー」の司会者イヴァン・ウルガント氏は番組を中止した。彼はソーシャルメディアに「恐怖と苦痛。戦争反対」というメッセージとともに、黒い四角の掲示物を掲載した。
一方、ロシアのウクライナ侵略を支持し称えたジャーナリストは、ロシア最大の放送チャンネル「ロシヤ1」(Rossiya-1)のトークショーの司会者ウラジミール・ソロヴィヨフ氏や、「今ロシアを非難する人は真のロシア人ではない」と言った マルガリータ・シモニャン氏のように西側の制裁対象になっている。