開戦17日目の12日(現地時間)、ロシア軍がウクライナのキエフ(現地読みキーウ)近郊の都市を順に攻略し、ウォロディミル・ゼレンスキー政権に対する総攻勢を目前にしている。ウクライナ軍はキエフの各所を要塞化し市街戦に備えるなど、決死の抗戦の意志を曲げていない。
AP通信やAFP通信などの主要な外信はこの日、キエフ近郊都市のバシリキーウ、イルピン、ブチャなどが、ロシア軍の無差別爆撃により大きな被害を受けたと報じた。キエフ南方の小都市バシリキーウでは、ロシア軍の爆撃によりウクライナ空軍の基地が破壊され、燃料貯蔵庫が火に包まれた。首都から北西に20キロメートルほど離れたイルピンでは、市街地に進入したロシア軍をウクライナ軍が追い出す過程で、壮絶な戦闘が続いた。道路の各所で銃撃戦が行われ、破壊された車両や遺体が散乱していると報じられた。住民のセルヒー・プロツェンコさんは「朝起きた時、すべてが煙に包まれていた。私たちは誰がどこで銃を撃っているのかもわからなかった」と語った。
ウクライナ政府は、攻撃にさらされている住民をキエフに連れ出すために全力をつくしているが、順調に進んでいないものとみられる。キエフ北東20キロメートルの地点に位置するペレモハから避難していた住民の車がロシア軍に爆撃され、子供1人を含む民間人7人が死亡した。車は再びペレモハに戻った。
ロシア軍はキエフ近郊の都市に対する攻勢を強化しており、近くキエフに対する総攻撃が行われるものと予想される。英国国防省は、ロシア軍の主力がキエフから北西に約25キロメートル離れた地点にまで接近していることを把握したとし、一時は長く並んでいたロシア軍が周辺の森や村などに分散配置されたとみて、まもなく包囲作戦が始まると予想した。
ウクライナは改めて、抗戦の意思を固めた。ゼレンスキー大統領は「キエフを占領するためには、街にいるすべてのウクライナ人を殺さなければならないだろう」と述べた。彼は侵攻以降、これまでにウクライナ軍人1300人が死亡したとし、「いかなる困難が近づいても、防御を怠ることはできない」と述べた。世界ボクシングヘビー級チャンピオン出身のビタリ・クリチコ・キエフ市長も「半数の200万人が街を離れた。すべての道路、すべての家が要塞化されている」と述べた。
南部アゾフ海の港湾都市マリウポリでは、ロシア軍の相次ぐ無差別爆撃により民間人約1500人が死亡した。ロシア軍は数日間街を包囲したまま、爆撃を止めていない。そのため、43万人の住民が都市から脱出もできず、食料や飲料水、医薬品の不足により大きな困難に直面している。国境なき医師団は、マリウポリの住民たちが薬がなく死んでいっており、飲料水がないため暖房用の配管から水を抜いて使っていると、劣悪な状況を伝えた。
ウクライナ当局は、ロシア軍が、食糧などを載せたマリウポリに向かう人道的支援の車両の通行を妨げ、略奪していると明らかにした。マリウポリは、ロシアから陸路でウクライナ東部のドンバスを経てクリミア半島につながる要所にある「戦略的拠点」だ。米国のマクサー・テクノロジーズ社が公開した衛星映像によると、市内各所から火柱が上がっており、集合住宅や住宅などが破壊された様子を確認できる。AP通信の取材記者は、ロシアの戦車が9階建て集合住宅を砲撃し、ロシア軍の狙撃兵が病院の従業員を照準射撃する場面を直接目撃したと報じた。マリウポリから192キロメートル離れた都市のメリトポリでは、ロシア軍が占領に協力しないという理由で、イバン・フェドロフ市長を逮捕し連れ去った。
外交的な解決策を求めるための努力は、成果を出せなかった。フランスとドイツの首脳は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談で、速やかな休戦と対話を求めたが、ロシアは強硬な立場を崩さなかった。米国のジョー・バイデン大統領は、ウクライナに武器を供与するために、2億ドル(約230億円)規模の資金を追加支援することにした。ロシア外務省は、ウクライナに軍事物資を送る車両は攻撃対象になると警告した。