ロシアのウクライナ侵攻2週目の9日(現地時間)、東部の主要交戦地域であるマリウポリの小児・産婦人科病院が爆撃に遭うなど、この都市をめぐる状況が最悪になっている。スミなど一部の地域で4万人あまりの民間人が「人道回廊」を通じて避難したが、マリウポリでは数十万人が暖房と電気が切れた状態で孤立しているとロイター通信などが報道した。
マリウポリの地方行政府はこの日、ロシアが民間人の避難のための臨時休戦に合意していながら、マリウポリの小児・産婦人科病院を爆撃したと明らかにした。ドネツィク州のパウロ・キリレンコ知事は、この爆撃で少なくとも17人が負傷したことを把握したと述べた。AP通信は、病院から1.6キロメートル以上離れたところでも地面が揺れるほどの衝撃が感じられたと伝えた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は声明を出し「今回の爆撃は深刻な惨事であり、こどもたちが建物の残骸の下敷きになっている」と話した。米国、英国などは直ちに民間人に対する野蛮な攻撃だと非難した。だがロシアはこの日も、ロシア軍は民間施設を攻撃していないとの主張を繰り返した。
国際赤十字委員会は、マリウポリの状況がますます深刻化しているとし「数十万の市民が食糧と水不足に苦しみ、暖房も電気も切れた状況」と知らせた。マリウポリ市のセルヒ・オルロフ副市長も「市民は雪を溶かして飲んでいる」として「ロシアの侵攻以後、現在までに少なくとも1170人の民間人が亡くなった」と話した。APは、亡くなった住民たちは都市の中心部にある墓地に集団埋葬されていて、この日も市の職員が長さ25メートルの穴を掘り、遺体をカーペットなどで包み埋葬したと報道した。
首都キエフ(現地読みキーウ)、北東部のスミ、南部のエネルホダルの3都市ではこの日、人道回廊を通じて3万5千人余りが避難に成功したとゼレンスキー大統領が明らかにした。ゼレンスキー大統領はこの日、集中攻撃を受けているマリウポリ、イジュムなど東部地域での救助に集中していると述べた。
ウクライナとロシアは前日に続きこの日も人道回廊を通じて民間人を待避させるために退避路の周辺で臨時休戦することに合意した。しかし、ウクライナ側はロシアが多くの地域で合意に違反したと批判した。ウクライナ内務省のバーディム・テニセンコ補佐官は、ハルキウでは民間人が交戦地域を抜け出すことに失敗したと明らかにした。ウクライナ軍とロシア軍は、キエフ近隣地域、ドンバスなど東部地域、マリウポリなど南部地域で対峙が続き、都市進入と阻止のための攻防を行った。
国連人権事務所は、先月24日から今までに亡くなった民間人をこども37人を含む516人と公式確認したが、実際の犠牲者数はそれよりはるかに多いだろうと憂慮した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はこの日までに外国に脱出したウクライナ避難民を210~220万人水準と推算した。UNHCRは、多くの避難民が支援を受けられる親戚や友人がいない境遇だとし、行く所のない避難民のための対策が緊急に必要だと指摘した。