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たった数日で「戦後秩序」を丸ごと揺さぶったプーチン大統領…国際連帯で阻止できるか

登録:2022-03-02 09:10 修正:2022-03-02 11:21
約60年ぶりに米ロで核問題が再発 
ドイツは路線を変えて軍事力増強 
スウェーデン、中立破って兵器提供を表明 
 
プーチン大統領、国際社会で「公共の敵」に 
全世界がロシア経済封鎖で「枯死作戦」
2月24日、ウクライナ侵攻開始を明らかにするロシアのウラジーミル・プーチン大統領=AP/聯合ニュース

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに侵攻してからわずか6日で、欧州と世界の地政学的秩序が地殻変動を起こしている。米国とロシアの間には60年ぶりに核問題が再発し、ドイツ、スウェーデン、フィンランドなどは戦後70年以上維持してきた外交安保路線を転換、あるいは転換を検討している。一丸となった米国と欧州は、プーチン大統領の武力を通じた「現状変更」の試みを粉砕するために、ロシア経済の息の根を止める凄絶な制裁を次々と発している。米国のジョー・バイデン大統領はプーチン大統領を「国際的孤立」に追い込むと公言した。

 今回の侵攻は「新冷戦」という言葉も色あせるほど、旧冷戦時代の殺伐とした風景を一気に蘇らせた。プーチン大統領は、侵攻4日目の先月27日、核兵器運用部隊に警戒態勢の強化を指示し、ウクライナ情勢を核兵器使用をめぐる米ロ間の戦略対立へと水位を引き上げた。1962年のキューバ・ミサイル危機以来、米ロ(当時はソ連)間の核兵器使用の脅威がこれほど露骨になったことはなかった。

 バイデン大統領は28日、ホワイトハウスで「核戦争勃発の可能性を憂慮すべきか」という記者の質問に「ノー」とし、挑発に巻き込まれないという意思を明らかにした。その代わり、カナダ、ドイツ、英国、フランスの首脳または北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の最高位層と電話会談した。ジェン・サキ報道官は「核兵器に関するこうした挑発的な言動は危険だ。誤算と誤った判断の危険性を高めることであり、必ず避けなければならない」と述べた。

 プーチン大統領の暴走は、欧州の長年の地政学的地形も一気に変えてしまった。ドイツは27日、第2次大戦敗戦以降は自制していた軍事力を増強する方針を明らかにした。オラフ・ショルツ首相は同日、国防予算を国内総生産(GDP)の2%以上まで増やすと明らかにした。また、長いタブーを破ってウクライナにスティンガーミサイルなどの破壊兵器も提供することを決めた。同様の方針を維持していた「中立国」スウェーデンも、武器提供の意思を明らかにした。「中立国モデル」の代名詞であるスウェーデンとフィンランドは、NATO加盟のための議論に突入した。これに対抗して、ロシアの兄弟国ベラルーシは27日、核兵器を配備できるという内容の改憲を選択し、核の恐怖の復活に寄与している。

 米ブルッキングス研究所のアンジェラ・ステント先任フェローは最近、「フォーリン・アフェアーズ」への寄稿で、戦後の欧州の安保秩序が第三局面に入っていると明らかにした。第一局面は戦争直後に形成された米ソ分占体制、第二局面はソ連が崩壊した1990年以降の「すべて自由な欧州」だった。ステント氏は、プーチン大統領が旧ソ連の影響圏を復活させ、米国、ロシア、中国がそれぞれ影響圏を形成する「3極体制」を作ろうとしていると分析した。両大国と厳しい対決をしなければならない米国は、先月28日、バラク・オバマ政権時代に廃棄した「二つの戦争」ドクトリンの復活を暗示した。

 プーチン大統領を孤立させるために、米国などが取り出した武器は経済封鎖措置だ。米国などは27日、ロシアの銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除したのに続き、28日にはロシアの中央銀行等との取引も禁止した。主なグローバル企業は、ロシアからの事業撤退計画を明らかにし、世界の主要都市ではプーチン大統領を殺人者と規定するデモが6日間続いている。ロシア国内では反戦デモで6000人余りが拘束された。制裁は文化・スポーツ分野にも広がり、ロシアは2022年カタール・ワールドカップからも締め出された。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1033113.html韓国語原文入力:2022-03-02 08:34
訳C.M

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