24日のロシアのウクライナ侵攻で、米国のバイデン大統領が就任以来最大の危機に直面している。米国が国際舞台でのリーダーシップを回復できるかが今回の事態にかかっており、11月の中間選挙という米国内の政治もその直接的な影響を受けざるを得なくなった。
バイデン大統領はこれまで欧州など同盟国と共に、ロシアがウクライナに侵攻すれば「過酷な経済制裁を加える」と警告し、侵攻を防ごうと努力した。だが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をついに止めることはできなかった。昨年8月のアフガニスタン撤収時と違って、ロシアの侵攻シナリオをメディアに事前に公開して機先を制し、同盟との強い協力を誇示したにもかかわらず、戦争防止という目的達成に失敗したのだ。
バイデン大統領は、侵攻を決断し交渉力がより強くなったプーチン大統領と対峙することになった。米国と西側諸国は22日からロシアに経済制裁を加え始めたが、天然ガスなど莫大なエネルギーを保有しているロシアが簡単に屈服する可能性は低い。欧州の同盟はもちろん、ロシア批判には相対的に消極的な中国をも引き入れて、国際社会の対ロシア圧迫効果を極大化するのがバイデン大統領の課題だ。
ウクライナ戦争勃発の衝撃は、世界と米国経済を直ちに混乱に陥れた。国際原油価格は2014年以降初めて、1バレル=100ドルを超え、世界中の株と仮想通貨の価格は急落した。過酷なインフレで政治的に苦戦しているバイデン大統領としては、原油や天然鉱物などの供給不足によるさらなる物価上昇と、それによる支持率下落を甘受しなければならない状況だ。この状況が続けば、連邦議員などを選ぶ中間選挙の見通しはさらに暗くなる。会計監査企業RSMの首席エコノミストのジョセフ・ブルセラス氏は、今回の事態について報告書で「米国における経済的負担は中産階級と労働者階層に最も強く及ぶだろう」と分析した。
米国は、外部勢力との衝突が発生すると、指導者を中心に国民が団結する伝統が維持されてきた。この慣行が今回も繰り返されるかどうかも未知数だ。AP通信がシカゴ大学の世論研究センターと共同で18~21日に実施した調査で、米国が今回のウクライナ事態で重要な役割を果たすべきだという回答は26%にとどまった。バイデン大統領は前面に出て西側の対ロシア対応を主導しているが、米国人にはあまり好意的に受け止められていないという話だ。
中間選挙を8カ月後に控えた時期とあいまって、ウクライナ戦争が米国内の政争の材料になる余地もある。民主党はバイデン大統領の対応を支持するが、共和党ではケビン・マッカーシー下院院内代表が「バイデンはロシアに対して口先だけ強く、実際の行動はそうではなかった」と述べるなど、批判意見を出している。ドナルド・トランプ前大統領は22日、保守系ラジオに出演し、プーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア地域を独立国家として承認したことを「すばらしい決定だ。テレビを見ながら『これは天才的だ』という言葉が出た」と述べ、バイデン大統領を嘲弄した。