新型コロナウイルスのオミクロン株の下位系統「ステルスオミクロン(BA.2)」は、世界57カ国で確認されるなど、拡散が続いていることが分かった。この変異株は一般のオミクロン株より感染力が強いことが知られており、コロナ禍の長期化に影響を与えるとみられる。
日本経済新聞は9日、世界保健機関(WHO)の資料を引用し、「まだ多くの国では『BA.1』が主流だが、BA.2の比率が高い国が増えてきた」とし、新たに発生した下位系統のステルスオミクロンが過半数を占める国も出始めたと報じた。現在までにステルスオミクロン株の感染が確認された国は日本、韓国を含め57カ国。「BA.2」は一部の遺伝子が変異し、PCR検査で他の変異株と区別しにくいため、「ステルスオミクロン」と呼ばれる。
ステルスオミクロン株は、ただでさえ恐ろしいほどの勢いで拡散する一般のオミクロン株より拡散速度が速い。最近のフィリピンの感染者にステルスオミクロンが占める割合は98%、インドは65%に達することが調査で分かっている。デンマークでは、昨年12月には従来型のオミクロン株感染が72%だったものの、先月末現在ではステルスオミクロン株が79%にまで増えている。わずか1カ月で優勢種が変わったことになる。これはステルスオミクロンの感染力が強いためと分析される。
デンマークのコペンハーゲン大学の研究によると、ステルスオミクロンの感染力は一般のオミクロン株より2~3倍も強い。WHOのコロナ担当技術責任者のマリア・バンケルコフ氏もこの日オンラインブリーフィングで「BA.2はBA.1より感染力が強い」とし「全世界的に増加するとみられる」と述べた。ただし、感染した際に重症化するリスクは、従来型の「BA.1」と大差ないといわれている。