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北朝鮮から挑戦状突き付けられたバイデン米政権の選択は

登録:2022-01-21 06:14 修正:2022-01-21 07:52
北朝鮮、バイデン大統領就任1周年記念記者会見に合わせて発表 
記者会見で北朝鮮について言及せず…ロシアに焦点 
北朝鮮を批判しつつ、対話を求める慎重論維持する見込み 
北朝鮮のICBM発射の可能性めぐり、韓米間の調整早まる見通し
米国のバイデン大統領が今月19日(現地時間)、ホワイトハウスで就任1周年を迎え、記者会見を行っている/AP・聯合ニュース

 北朝鮮が2018年以降中断していた核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験の再開を検討すると明らかにし、バイデン米大統領に「挑戦状」を突きつけた。対話路線を掲げながらも、実際に北朝鮮と意味ある対話を始めることすらできなかったバイデン大統領の対北朝鮮政策が、大きな試験台に立たされることになった。

 北朝鮮は20日、「朝鮮中央通信」など官営メディアを通じて、2018年以降守ってきた核・大陸間弾道ミサイルの実験発射に対するモラトリアム(猶予)の解除を検討すると明らかにし、米国に狙いを定めた。労働党中央委員会政治局は前日の19日、「米国の敵視政策と軍事的脅威がこれ以上見過ごせない危険界線に達した」とし、今回の決定を下した理由がバイデン政権の対北朝鮮「敵視政策」にあることを明確にした。北朝鮮は、皮肉にもバイデン大統領の就任1周年に合わせて、この決定を公開した。

 北朝鮮のこの日の発表は、朝米双方の今後の行動次第では朝鮮半島を2017年の「炎と怒り」の時期に戻す出発点になり得る。北朝鮮がこれまで控えてきた核実験と大陸間弾道ミサイルの発射実験に乗り出せば、米国も相応の対応をせざるを得ない。ただ、米国が今回の発表だけで対応を急速に強化する可能性は低いとみられる。北朝鮮が核・大陸間弾道ミサイルの発射実験を再開したわけではなく、これを「検討する」意向を示した段階であるからだ。アントニー・ブリンケン国務長官が北朝鮮の最近のミサイル発射に「関心を引こうという意図」と述べたことも、米国が過剰対応しないという見通しの根拠となっている。

 また米国は現在、対外政策でウクライナ問題に総力を傾けており、北朝鮮との関係で「全面的な対決」か「全面的な譲歩」のどちらかに急激に重きを移す余力があまりない。実際、バイデン大統領は19日(現地時間)に行われた就任1周年記念記者会見でも、北朝鮮について一切言及せず、記者団も北朝鮮について質問しなかった。会見はロシアによるウクライナ侵攻の懸念を除けば、インンフレーションや新型コロナウイルス感染症への対応、社会福祉・気候変動支出案など、国内問題に集中した。米国が(朝鮮半島と周辺地域の)緊張を高める北朝鮮の行為について、国際社会とともに糾弾する一方、対話を求める慎重な態度を固守するとみられるのもそのためだ。

 問題は、北朝鮮が昨年明らかにした「国防科学発展および兵器体系開発5カ年計画」を掲げ、挑発を強化していく可能性が高いという点だ。北朝鮮が昨年1月に発表した同計画には、超大型核弾頭や極超音速ミサイル、固体燃料大陸間弾道ミサイルなどが含まれる。

 米シンクタンクのウッドロー・ウィルソン・センターのスミ・テリー韓国担当局長は、本紙の取材に対し、「北朝鮮の兵器能力が大きくなるほど米国との対話においてテコが大きくなる」とし、「北朝鮮は2月の北京五輪と3月の韓国大統領選挙後に大陸間弾道ミサイルや戦術核兵器など実験攻勢を強化するだろう」と見通した。これは米国が容認できない「レッドライン」を超える行為で、米国も相応の対応手段を考えざるを得なくなる。こうした「悪循環の輪」を断ち切るためにも、文在寅(ムン・ジェイン)政権は任期終盤まで韓米間の意思疎通と政策調整に力を入れるほかない状況に置かれることになった。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1028145.html韓国語原文入力: 2022-01-21 02:32
訳H.J

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