日本の岸田文雄首相が国政運営の方向性を明らかにする所信表明演説で、北朝鮮や中国など周辺国のミサイル基地などを日本が直接攻撃する「敵基地攻撃能力」保有を明示的に明らかにした。韓日関係については「重要な隣国である韓国には、我が国の一貫した立場に基づき、引き続き適切な対応を強く求めていく」という従来の立場を繰り返した。
岸田首相は6日、補正予算案の審議のために召集された臨時国会の所信表明演説で、外交・安全保障分野に関し、「我が国を取り巻く安全保障環境は、これまで以上に急速に厳しさを増している」と強調した。それとともに「国民の命と暮らしを守るため、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化していく」と述べた。このため、「新たな国家安全保障戦略、(下位概念の)防衛大綱、中期防衛力整備計画を、概ね1年かけて策定する」と明らかにした。
岸田首相は今年9月の自民党総裁選や最近の自衛隊記念式などで「敵基地攻撃能力」を保有する考えを表明してきたが、国会でこれを明確にしたのは初めて。10月8日の就任後の演説では「さらなる効果的措置を含むミサイル防衛能力など防衛力の強化、経済安全保障など新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいく」と述べるにとどまった。日本の安保戦略の大きな方向性を定める「国家安保戦略」の改定も「1年かけて」と具体的期間を定めた。遅くとも来年中には改正するということだ。所信表明演説は、日本の首相が臨時国会が始まる時に当面の政治課題と今後の政策方向を国民に明らかにするものだ。
岸田首相の今回の発言は、米国のジョー・バイデン大統領との首脳会談を控え、日本の防衛力強化の内容をより具体的に示すためとみられる。 岸田首相は同日の演説の外交・安全保障分野の第2段落で「できるだけ早期に訪米して、バイデン大統領と会談し、インド太平洋地域、そして、国際社会の平和と繁栄の基盤である日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していく」と強調した。
懸案がある韓国や中国など周辺国に対しては「国益に基づき、この地域の平和と安定を目指して、確固たる外交を展開していく」と述べた。国別の内容は初演説の時より簡素化された。 韓国に関しては10月の演説では「韓国は重要な隣国」だとしたうえで、「健全な関係に戻すためにも、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく」と明らかにした。今回は「健全な関係に戻すため」という部分が抜けるなど二つの文章から一つの文章に減った。岸田首相が強調した「一貫した立場」とは、日本軍「慰安婦」と強制動員被害者など歴史問題について、韓国側にまず納得できる解決策を示すよう求めることを意味する。
中国に対しては「対話」という表現がなくなった。岸田首相は同日「中国に主張すべきことは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、共通の課題には協力し、建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と述べた。10月の演説では「中国とは、安定的な関係を築いていくことが、両国、そして、地域及び国際社会のために重要だ。普遍的価値を共有する国々とも連携しながら、中国に対して主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めると同時に、対話を続け、共通の諸課題について協力していく」と述べた。