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「中国、ミサイル格納庫300棟の建設作業が急進展」

登録:2021-11-04 10:29 修正:2021-11-04 11:26
米国科学者連盟「衛星写真を分析」 
核戦力強化で「核先制不使用」政策を放棄するかに注目
中国内モンゴル自治州オルドス市の砂漠地帯の、ミサイル格納庫と疑われている建設現場=米国科学者連盟(FAS)のホームページより//ハンギョレ新聞社

 中国がミサイル格納庫の建設を急ピッチで進めていると、米国科学者連盟(FAS)が2日に明らかにした。米中対立が激化する中、中国が核戦力の向上に多くの力を注いでいるものと解釈される。

 FASはこの日、ホームページに掲載した報告書で、最新の衛星写真を分析した結果、新疆ウイグル、玉門、オルドスの3カ所で大陸間弾道ミサイル(ICBM)格納庫の建設と推定される作業が急進展しているとの分析を示した。マット・コーダ、ハンス・クリステンセン両研究員は報告書で「中国が類例のない核増強を行なっている」とし、「ミサイル格納庫が完全に運用されるまでには、あと数年かかる見通しであり、中国がどのように武装してどのように運用するのか見守らなければならない」と述べた。

 中国のミサイル格納庫の建設は、今年6月にジェームズ・マーティン不拡散研究センターが衛星写真を基に、中国の玉門近辺の約120カ所の砂漠でICBM格納庫の建設工事と見られる作業が行われていると主張したことで知られるようになった。7月と8月には、新疆の哈密(ハミ)とオルドス地域付近でもミサイル格納庫の建設とみられる作業が進められているという事実が、FASなどによって公開された。FASは、最近確保した衛星写真を分析した結果、この3つの現場で中国が約300棟ほどの格納庫を建設中とみられると明らかにした。クリステンセン研究員は「注目すべき点は、中国が以前とは比較にならないほど速く、大規模に格納庫を建てているということ」だと明らかにした。

 中国は、これらの施設がミサイル格納庫なのかどうかについて、公に肯定も否定もしていない。CNNの報道によると、米国の当局者たちは、これらの施設が中国の核戦力現代化計画の一環として進められているものと受け止め、懸念している。チャールズ・リチャード米戦略軍司令官(海軍提督)は「(中国の)核と通常戦力の爆発的な増強は、息を呑むほどとしか言いようがない。率直に言って、息を呑むという表現も十分ではないかもしれない」と警告した。

 FASによると、中国は350発の核兵器を保有しており、米国の3700発やロシアの4557発にははるかに及ばない。しかし、こうした中国の動きは、中国が本格的な核戦力強化を通じ、いわゆる「最小抑止戦略」と「先制不使用」に要約される従来の核政策を放棄するのではないか、という論争につながっている。最小抑止戦略は、敵国の核攻撃を抑止するために必要な最小限の核戦力を保有するという戦略であり、核先制不使用は、核攻撃を受けない限り核で他国を先制攻撃することはないという方針だ。

 米国の駐中国大使に指名されたニコラス・バーンズ氏は、先月の聴聞会で、中国は「(最小抑止戦略の)定義をとうに越えてしまった。中国は極超音速技術を含め、急速に核戦力増強を追求している」と懸念を示した。一方、ワシントンのシンクタンク「国防優先(Defense Priorities)」のベンジャミン・フリードマン氏は、「中国はかつてよりやや多くの核兵器を保有すると決めたようだ」としつつも、中国は従来の核戦略を変えてはいないと信じるとCNNの報道で述べている。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/1017752.html韓国語原文入力:2021-11-04 07:57
訳C.M

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