中国の官営研究機関が、台湾有事の際には韓国が米国との共同対応に出る可能性に備えなければならないと指摘した。
「サウスチャイナ・モーニングポスト」は1日付で、官営の中国現代国際関係研究院(CICIR)が最近発行した報告書で「中国との競争がますます激化している状況で、米国は韓米軍事同盟の拡大を模索している」とし、「中国にとって最悪のシナリオは、米軍約2万6000人が駐留している韓国が台湾有事の際、米国と共同対応に出ること」だと警告した。国務院国家安全部傘下のCICIRは、外交部傘下の中国国際問題研究院(CIIS)と共に、外交・安全保障分野の二大政策研究機関に挙げられる。
同紙は報告書の内容を引用し「2019年、米国が韓米同盟を中東や南シナ海、台湾問題にまで拡大しようとした時、韓国側が反対したが、あらゆる選択肢とシナリオが依然として交渉可能な状況」だとし、「ポール・ラカメラ在韓米軍司令官も、今年5月の上院承認聴聞会で『在韓米軍は朝鮮半島以外の地域の非常事態と地域安保が脅かされる状況に対し、インド太平洋司令部の要求に応じることができる能力を備えている』と強調した」と指摘した。
報告書は「韓米は今年5月、韓国のミサイル射程制限の解除に合意し、4カ月後、韓国は非核保有国としては初めて潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験に成功したと明らかにした」とし、「韓国は中・長距離ミサイル開発に乗り出すことができるようになり、バイデン政権は韓米同盟を中国封鎖に活用しようとしている」と指摘した。
これに先立ち、米国のジョー・バイデン大統領と文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5月21日、ワシントンで開かれた首脳会談で、「台湾海峡における平和と安定維持の重要性」を強調した。韓米首脳会談で台湾問題が取り上げられたのは、この時が初めて。
報告書はさらに「台湾海峡で緊張が持続している中、米国は中国が物理力を動員して台湾と統一を進める状況を憂慮している」とし、「2019年以降、台湾有事の際の緊急対応計画を立てた日本の事例を韓国が真似ることもあり得る」と見通した。また「現在(戦時作戦統制権の)移管をめぐる交渉が行われているが、相互防衛条約などによって米軍は戦時に韓国軍に対する作戦統制権を行使できる」とし、「台湾有事の際、米軍の軍事力動員要請を韓国が拒否するのは容易ではない」と付け加えた。韓国は東シナ海などに韓国の軍事力を投射できる3万トン級軽空母を2033年までに導入する計画だ。
中国人民大学の成暁河教授は同紙に「これまで『戦略的中立』を守ってきた韓国が、主要貿易国であり朝鮮半島問題の当事国でもある中国の代わりに米国側に傾く可能性は高くない」としながらも、「中国に対抗するための(韓米)両国協力の代償は大きいという点について、中国は適切な時期に米国と韓国側に明確なシグナルを送る必要がある」と述べた。