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米中「ワクチン外交戦」…中国“台湾と断交”を条件としたワクチン提供に米国が対抗

登録:2021-05-21 06:03 修正:2021-05-21 07:47
米、海外に提供する予定の8000万回分「中南米に優先供給」
今月19日、ホンジュラスの首都テグシガルパのある大学の校庭に設けられた新型コロナワクチン簡易接種施設で、マスクをした高齢者がロシア製のスプートニクワクチンの接種を受けている=テグシガルパ/EPA・聯合ニュース

 24日に台湾で開かれる予定の第74回世界保健総会(WHA)の開幕を控え、中南米で中国と米国の「ワクチン外交」競争が本格化している。そのため、米国は同地域に対するワクチン供給を最優先的に考慮しているという。

 フィナンシャル・タイムズは20日付で、米政府高官の発言として、「(17日に)ジョー・バイデン大統領が外国に提供することにした新型コロナワクチン8000万回分の最優先供給地域は中南米諸国になるだろう」と報じた。同地域で台湾と国交がある国々が、中国産ワクチンの供給を受けるために台湾と断交する可能性があるという指摘が相次いでいる状況を意識した措置とみられる。

 現在、台湾と国交を結んでいる国は計15カ国で、このうち9カ国がカリブ海沿岸と中南米に集中している。1回以上ワクチン接種を受けた人が人口の48.5%に達するなど、中南米で最も接種率が高いチリをはじめ、中南米各国が中国産ワクチンを活用しているが、台湾と国交がある国には供給されていない。同紙は「中国はすでに1億4400万回分のワクチンを中南米10大人口大国に供給した」と報道した。

 2016年、台湾で蔡英文総統が当選してから、中国は経済力を武器に中南米諸国に対する外交を強化してきた。これにより2017年のパナマを皮切りに、翌年エルサルバドルとドミニカ共和国などが台湾と外交関係を絶った。これら3カ国は中国からコロナワクチンの支援を受け、1回以上接種を受けた人が全体人口の13.3~21.4%に達する。一方、台湾と国交を結んでいるホンジュラス(1.1%)やグアテマラ(1.8%)、パラグアイ(2.9%)などは中南米最低水準にとどまっている。

 ホンジュラス政府が最近、中国との関係改善のため、中国に貿易代表部を開設する案を検討することを明らかにした背景には、このような事情がある。同紙はホンジュラス政府高官の言葉を引用し「台湾と維持してきた長年の親善関係を断絶することは避けたいが、ワクチン需給が何よりも緊急な状況」だとし、「中国は友好国を支援しているのに、我々の友好国からはなぜ支援がないのか、国民が疑問に思っている」と述べた。

 米国内でも米国の「無対策」を批判する声が高まっている。同紙は代表的な対中国強硬論者であるマリコ・ルビオ上院議員(共和)の言葉を引用し「中国がコロナ禍を悪用し、感染拡大が深刻な国々を(台湾と断交するよう)追い込んでいるが、バイデン政権は何の措置も取っていない」と報じた。

 これに先立ち、ジョー・バイデン米大統領は今月17日、新型コロナワクチン計8000万回分を外国に提供する方針を明らかにし、「ロシアと中国がワクチンを利用して影響力を拡大しているといわれているが、米国は米国の価値観で世界をリードする」と強調した。

 これに関し、中国外交部の趙立堅報道官は翌日の定例ブリーフィングで、「米国がワクチン提供の約束を早期に履行し、開発途上国の防疫のためになるなら、中国はこれを歓迎する」とし、「ワクチンの話をする度に中国を引き合いに出すのは醜いやり方であり、米国の真の意図が何なのか疑わざるを得ない」と非難した。

北京/チョン・インファン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/995977.html韓国語原文入力:2021-05-21 02:44
訳H.J

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