日本政府は放射性物質「トリチウム」(三重水素)をキャラクター化した動画を公開したが、世論の悪化により1日で中止に追い込まれた。
日本復興庁は14日、「国民の皆様のさまざまな声や感想を踏まえ、トリチウムのデザインを修正する」とし、「このためチラシと動画の公開をいったん休止する」と発表した。
菅義偉政権が13日、福島第一原発の放射性物質汚染水の海洋放出を決定した直後、復興庁はトリチウムのキャラクターが登場する動画とチラシを公開した。日本政府は多核種除去設備(ALPS)を利用して汚染水の放射性物質を浄化した後、海に放出する計画だが、トリチウムはこの装置でも濾過できないため、水に希釈して放出する予定だという。復興庁が公開した動画を見ると、トリチウムがかわいいキャラクターのように描かれている。復興庁は「放射線というテーマは専門性が高く、分かりづらいことから、なるべく多くの国民の皆様に、一般消費者の方々に関心を持っていただき、科学的根拠に基づく正しい情報を知っていただくため、イラストで分かりやすく解説した」と主張している。
復興庁の意図とは裏腹に、13日にこの動画が公開された後、インターネットなどに「いわゆる『ゆるキャラ』でごまかさないでほしい」などの批判が殺到した。14日、参議院調査会では議員が「トリチウムが“ゆるキャラ”のように登場している。トリチウムは親しむべき存在ではない」と批判する場面もあった。復興庁は相次ぐ批判を受け、14日夜、動画とチラシ公開を中止した。ただし、動画やチラシの公開を諦めたわけではなく、デザインを修正してから再び公開する予定だ。