日本政府は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1日の三一節記念式典での演説で、日本に再度対話を提案したことについて、「重要なことは、両国の間に(強制動員と慰安婦問題など)懸案の解決のため、韓国が責任を持って、具体的に対応をすること」だと述べた。これまで日本政府は、韓日関係の改善のために韓国側が先に解決策を講じるよう求めてきたが、その延長線上にあるものとみられる。
加藤勝信官房長官は同日の定例記者会見で、文大統領の三一節記念式典での演説に対する意見を問う質問に「現在日韓関係は旧朝鮮半島出身労働者問題や『慰安婦』問題など、非常に厳しい状況にある」と述べた。さらに「文在寅大統領の個々の発言に対するコメントは差し控えたい」としながらも、「重要なことは、両国の懸案解決のため、韓国が責任を持って具体的に対応していくこと」だと述べるなど、従来の立場を繰り返した。「具体的な提案を注視していきたい」とし、「(これが)日本政府の立場」だと付け加えた。
加藤官房長官は「韓国は重要な隣国」であり、「北朝鮮問題に対して日韓、日米韓の連携は不可欠」だとしたうえで、「日韓が健全な関係に戻すためにも、日本の一貫した立場に基づき、引き続き韓国側に適切な対応を強く求めていく」と強調した。
日本メディアも文大統領の三一節記念式典での演説について「具体的で新しい提案はなかった」と報道した。共同通信は文大統領の発言について「歴史問題と切り離して日本との協力を進めたい意向を強調したが、日本政府への具体的な要求や新しい提案はなかった」と報じた。同通信はさらに、「日本についても、慰安婦・元徴用工など当事者に対しても、明確なメッセージのない演説で、依然として事態打開の見通しは立たない」と付け加えた。読売新聞も文大統領の演説について「改善への意欲を示した」としながらも、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)や元慰安婦問題の解決に向けた具体的な言及はなかった」と報じた。
文大統領は同日、三一節記念式典での演説で「過去に足を引っ張られるわけにはいかない」とし、「韓国政府はいつでも日本政府と向き合って対話する準備ができている」と述べた。