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GM「詐欺疑惑」のニコラと契約撤回…1億ドルの株を保有する韓国ハンファにも影響

登録:2020-12-02 08:51 修正:2020-12-02 09:35
成長動力に支障…「会長の息子らのグループ継承作業にも影響」との分析も
ハンファグループ本社=ハンファグループ提供//ハンギョレ新聞社

 米国の自動車メーカー、ゼネラルモーターズ(GM)が、詐欺疑惑が持ち上がった水素燃料電池自動車メーカーのニコラと交わした持ち株買収契約を急きょ撤回したことで、1億ドル規模のニコラの株式を保有していハンファグループに注目が集まっている。“密室投資”により、グループの未来成長動力の確保に支障が生じる可能性もあるからだ。特にニコラへの投資は、ハンファグループのキム・スンヨン会長の長男、キム・ドングァン・ハンファソリューション社長が直接乗り出したため、さらに波紋が広がる見通しだ。

 ハンファグループの関係者は1日、ハンギョレの電話インタビューで「(ニコラの)株式買収当時は買い入れ価格が1株当たり4.5ドルだった。最近株価が暴落したとしても、依然として(買い入れ価格の)4倍を上回る」とし、「(ニコラの)水素燃料電池自動車と水素ネットワーク技術(の開発)は予定通り進められると聞いており、ひとまず見守る方針」だと述べた。これは、GMが今年9月にニコラと結んだパートナーシップ契約を先月30日(現地時間)に撤回すると発表したことに関して、ハンファ側の立場を尋ねる質問に対する答えだ。ここ数カ月間、技術詐欺疑惑が持ち上がっていたニコラは、GMとの契約撤回により株価が1日で26.9%も暴落するなど、混乱に陥っている。これに先立ち、2018年にハンファエネルギーとハンファ総合化学がそれぞれ5千万ドルずつ投資し、ニコラの株式を6.1%確保した。

 「金銭的損失はまだない」というハンファ側の主張とは裏腹に、財界と市場ではハンファへの影響が大きいものと見ている。米金融当局(証券取引委員会、SEC)と法務部の調査結果により、ニコラの水素燃料電池自動車が「偽技術」と判明した場合、ハンファは1千億ウォン(約95億円)を超える投資額を回収することは難しくなる可能性がある。ハンファのニコラ株の売却が制限される保護預かり期間は来年4月までだ。

 グループレベルで未来の主力産業として力を入れてきた水素・太陽光エネルギー事業の推進も、打撃が避けられない状況だ。ハンファは水素分野事業の軸としてニコラを繰り返し言及してきた。一例として、今年第2四半期の実績カンファレンスコールでハンファは「グリーン水素の生産・供給力を確保し、水素経済の活性化をリードする。ニコラと協力して足場を確保することになった」と発表した。

 投資決定の過程できちんとした検証作業を行なったかという疑問の声もあがっている。グループレベルの未来事業決定システムと判断力に対する市場の信頼が揺るぎかねない状況だ。今回の投資決定には、グループの経営権継承の先頭に立っているキム・ドングァン社長が深く関与した。これまでハンファ内外では、キム社長のニコラ投資決定を優れた経営者としての資質を見せた事例と評価してきた。

 さらに、ハンファの会長の息子たちの継承作業に影響を与える可能性があるという予想もある。キム会長の3人の息子であるドングァン氏、ドンウォン氏、ドンソン氏は、ニコラの持分買収に参加したハンファエネルギーの株式を100%保有しており、ハンファ総合化学はハンファエネルギーの子会社だ。ハンファの投資後、ニコラが米株式市場(ナスダック)に上場し、株価が急騰したことについて、「一度の投資で株式継承に必要な税金などの費用を調達した」と言われてきたのも、そのためだ。しかし今ではニコラの価値が急激に下落し、むしろグループ継承に必要な3兄弟の資金確保に赤信号が灯った。ハンファ側は「投資額は会社別に500億ウォン(約47億円)程度で、ニコラをめぐる疑惑と継承作業は別問題とみている」と説明した。

ホン・ソクジェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/972405.html韓国語原文入力:2020-12-02 07:57
訳H.J

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