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福島原発汚染水の海洋放出強行へ手続き…日本の世論、圧倒的「反対」

登録:2020-08-03 10:07 修正:2020-08-03 13:03
[5回の公聴会の議事録・映像を分析]

公聴会5回、否定的な世論が多かったが 
日本政府、9~10月に海洋放出決定へ 
 
「浄化した汚染水にも放射性物質」 
「福島の再生に水をかけること」 
 
日本、コロナ局面のなか放出強行の手続き 
処理水からセシウム、ヨウ素が大量に検出 
「再び浄化」を明らかにしたものの、国民の不信感増す 
 
住民・漁民「事故から9年後、また汚染の烙印」 
反対が多すぎ、パブリックコメント3回も延長 
 
海洋放出した場合、1年以内に東海へ流入との研究も 
韓国「情報共有を要請しモニタリング」

福島原発の放射能汚染水タンク//ハンギョレ新聞社

 国際社会の関心が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに集中したこの3カ月の間に、日本政府は公聴会を5回も開き、「福島原発放射能汚染水の海洋放出」決定の手続きを踏んでいた。ハンギョレが公聴会の録音記録と映像を全て分析した結果、現地でも反対世論が圧倒的に多かったが、日本政府は早ければ9~10月にも海洋放出を決定するという予想が出ている。汚染水が放流されれば、1年以内に韓国の東海に流入し得るという研究結果もあり、国際環境団体と国際法の専門家らは韓国政府が先制して国際法的対応を取ることを求めている。

 2011年の東日本大震災の際に爆発事故を起こした福島第一原発は、稼動が中止されたままま9年以上廃炉作業が行われている。しかし、核燃料の冷却水や原発の建屋に染み込んだ地下水や雨水などの汚染水が増え続け、処理方法をめぐり論争が続いている。これまでは汚染水をタンクに貯蔵してきたが、2022年夏にはタンクが足りなくなり、海洋放出が避けられないというのが日本政府の主張だ。

 安倍晋三政府は4月6日と13日、5月11日、6月30日、7月17日にかけて汚染水処理案に関するオンライン公聴会を開いた。公聴会には福島県の地元代表や漁業、農林、ホテル業界だけでなく、全国単位の団体である旅行協会、経済団体、消費者団体などが参加した。政府側からは経済産業省、環境省、外務省など10あまりの省庁が参加した。

 ハンギョレの取材の結果、公聴会では、浄化させた汚染水からも放射性物質が検出されている▽福島が「放射性物質汚染地域」という認識が高まる▽漁業に深刻な影響を及ぼす▽世論を集める前に最終決定をしてはならないなど、反対意見が中心であることが確認された。

 国際環境団体グリーンピースは昨年8月、「福島放射能汚染水の危機」という報告書で、日本の福島原発の放射能汚染水が放出されれば、1年以内に東シナ海、黒潮海流と対馬暖流に乗って韓国の東海に流入すると指摘した。日本政府は国際社会の懸念をものともせず、今年3月に福島第一原発の汚染水を30年かけて海洋に放出する構想を含めた草案を発表した。汚染水を希釈するための施設建設などの日程を考慮すれば、今年10月以内に決定される可能性が高い。日本の安倍晋三首相は3月、メディアのインタビューで「できるだけ速やかに方針を決めたい」と明らかにした。

 日本政府は、福島の地元住民や関連団体、一般国民の意見を収れんして最終方針を決めることにした。だが、日本国内でも汚染水の海洋放出を巡り反対世論が激しくなっている。ハンギョレが5回の公聴会の議事録と映像を分析したところ、参加者37人の大多数が海洋放出に懸念を示した。

 福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の小井戸英典理事長は「放射性物質を忌避することは人間の本能」だと言い、「東京電力が当初明らかにしたのとは違い、浄化した処理水にも放射性物質があったというのは大きな問題」と強調した。

 東電は「多核種除去設備」(ALPS)で放射性物質(62種)をろ過し、タンク中の汚染水には技術的に除去できないトリチウムしかないと説明してきた。しかし、2018年の調査でALPSで浄化した汚染水の80%にセシウム、ストロンチウム、ヨウ素など人体に致命的な放射性物質が基準値以上含まれていることが明らかになった。東電は再び浄化し、安全に放出すると強調しているが、不信感はすでに膨らんでいる。

 福島を再生させようとする地元住民の9年間の努力に水を浴びせる行為だという指摘も出た。福島県森林組合連合会の秋元公夫会長は「汚染水が放出されれば、原発事故があった福島から再び放射性物質が放出されると認識される」と心配した。

 海が生計の根幹である漁業者はもっと断固としていた。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は「海に意図的に放射性物質をまくのは受け入れられない」と反発した。全国漁業協同組合連合会は先月23日、汚染水の海洋放出について「反対する」と決議した。

 拙速な処理の懸念も提起された。全国消費者団体連合会の浦郷由季事務局長は「まだ日本の国民たちは汚染水について詳しく知らない」とし、「国民が汚染水の海洋放出を理解するまで最終決定をしてはならない」と述べた。川内村の遠藤雄幸村長も「現在、国民の関心事は新型コロナだ。こうした状況で汚染水問題が国民的議論につながるかどうか、非常に疑問だ」と指摘した。

 日本政府は主要政策を決定する際、「パブリックコメント」と呼ばれる意見公募手続きを経る。主務省庁である経済産業省が4月6日に公募を開始したが、異例にも3回延長して先月末まで意見を受けた。海洋放出に反対する意見が圧倒的に高いため、期間を延長したという分析が出ている。

 国連人権委員会は先月「日本政府が福島の放射能汚染水の放出スケジュールを加速化しているという報告がある」とし、「深く憂慮する」という声明を発表した。日本と海に接している韓国政府は、首相室傘下にタスクフォース(TF)を設置し、汎省庁レベルで日本政府の動きを注視している。外交部当局者は「福島原発の汚染水処理過程で、関連情報を充分に共有することを日本に要請している」とし「韓国にどんな影響を与えるか、さまざまな方面からモニタリングしている」と説明した。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/956187.html韓国語原文入力:2020-08-03 06:55
訳C.M

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