北朝鮮の「言葉の爆弾」声明と開城(ケソン)南北共同連絡事務所爆破後の硬直した南北関係の「打開策」を話し合うため、17日から米国を訪問していたイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長が20日に帰国した。イ本部長は、米国との協議の内容を問う取材陣の質問にノーコメントを貫いた。
イ・ドフン本部長は19日(現地時間)、ワシントンDC近くのダレス国際空港で、米国・日本とコミュニケーションを取っているかとの記者団の質問に対し、「いつもコミュニケーションをとっている」と答えただけで、残りの質問にはコメントを控えた。20日の仁川国際空港到着後も、関心が集まっている対北朝鮮制裁の緩和、米国の「干渉グループ」と非難されている韓米ワーキンググループの運営改善について記者らの質問が続いたが、最後まで口を開かなかった。
現在、大統領府と与党からは、南北関係が破局を迎えたことについて「外交部責任論」を指摘し、突破口を開くことを求める声が高まっている。これを意識してか、外交部はコロナ禍以降5カ月ぶりに行われたイ本部長の訪米に関し、スティーブン・ビーガン朝鮮半島政策特別代表(副長官)と会談を行うことを公開しただけで、詳しい議題や日程についてはコメントを控えている。18日のビーガン副長官との会談も、動線が明らかになることを避けるため、国務省庁舎以外の場所で行ったという。両国いずれも、今回の会談に関し、特に資料は公開していない。
11月の大統領選挙を前にドナルド・トランプ米大統領は、長期化するコロナ禍で大きな打撃を受けるなど、こじれた朝米核協議に関心を向けられずにいる。こうした事情を考えれば、今回の会談を通じて「非核化前の制裁の緩和はない」という米国の従来の立場から画期的な変化が起こった可能性は少ない。最近の状況について韓米間で認識を共有し、今後の対応の方向性について深く意思を確認し合った程度とみられる。
米国政府も原則的な立場を繰り返すに止まっている。米国務省のデビッド・スティルウェル次官補(東アジア・太平洋担当)は18日、マイク・ポンペオ国務長官と中国の楊潔チ国務委員(外交担当)のハワイ会談を説明する席で、「北朝鮮は交渉のテーブルに戻り、核プログラムについて話し合わなければならない」と述べただけで、注目に値する発言はしていない。