来月1日までにユネスコに報告書を提出しなければならない「明治日本の産業革命遺産」と関連し、日本政府が調査研究を任せた団体である「財団法人産業遺産国民会議」(産業会議)が、朝鮮人強制労働を否定したり、それの意味を希釈化する内容の自主報告書を作成してきたことが明らかになった。このため、日本政府がユネスコに提出する経過報告書の性格を持つ「保全状況報告書」にも、同団体の研究内容がかなり盛り込まれるかもしれないという懸念の声が高まっている。
27日、日本の市民団体である「強制動員真相究明ネットワーク」(強制動員ネットワーク)が情報公開を通じて入手した産業会議が作成した報告書3年分(2016~2018年)では、朝鮮人強制労働被害を認めない記述が多く見られる。「明治日本の産業革命遺産」は2015年に日本政府が近代産業革命遺産としてユネスコに登録したもので、朝鮮人たちに対する強制労働で悪名高い長崎県端島(別名軍艦島)を含め、日本国内の23カ所の炭鉱や製鉄所などが含まれている。日本政府は2016年「産業労働の歴史」部分の研究を同団体に委託しており、3年間3億6千万円を支給した。
産業会議が2016年に作成した報告書には、「戦中期(1937-1945)日本へ労務動員された朝鮮人炭・鉱夫の賃金と民族間の格差」という韓国の論文が掲載された。同論文は「本稿では、戦中期(1937-1945)日本に動員された炭・鉱夫たちが得た賃金が朝鮮の家族に送金されたり、現地で多様な用途で使う選択が可能な水準だったことを示している」とし、「朝鮮人炭・鉱夫の賃金は日本人のそれとさほど大きな差異がなく、民族間の賃金差が“民族差別”だったと見なすことはできない」と主張している。著者の名前は報告書にないが、引用された韓国の学術誌と照らし合わせると、落星垈経済研究所のイ・ウヨン研究委員が書いた論文とみられる。イ委員が書いた同様の内容の文章は、最近出版された 『反日種族主義』にも掲載されている。
2017年の報告書には外国人産業労働専門家の講義内容が引用されている。講演の相当部分は第二次世界大戦当時、英国で自国民が炭鉱に労務動員された内容だ。講演者は英国で動員プロセスが「非常に公平だった」と答える。徴用は戦争期に他国でもあったことを強調したい産業会議の意図がうかがえる。また、労働運動への参加経歴のある人は、端島(軍艦島)などの炭鉱について触れながら、「今でいえば、非人道的労務管理が行われたという事実は確かにあった」としながらも、「朝鮮人が特別に虐待されたかというのはあまり端島では聞いていない」と話す。
2018年の報告書はさらに露骨だ。福岡県三池炭鉱で「中国人捕虜」(強制連行された中国人)の管理を任されていたという人はインタビューで、朝鮮人の強制連行があったかとの問いに「なんの、集団就職(だった)」とし、「殴る、蹴るような虐待があったか」という質問には「白人も中国人もあれだけ何千人って暴動を起こしよるなら、そげんされたなら(殴られたなら)、朝鮮人も暴動を起こすはず、暴動起こしておらんから」と話した。報告書には強制労働の被害当事者である韓国人インタビューは見られない。また、この団体のホームページには、「軍艦島の真実」という名で、端島で朝鮮人強制労働を否定する内容の日本人インタビューがいくつか掲載されている。
日本が2015年、「明治日本の産業革命遺産」をユネスコ世界遺産に登録する当時、ユネスコは当該施設の「全体の歴史」を理解できるようにすべきと勧告した。明治時代以後の1940年代の朝鮮人強制動員歴史を反映すべきという意味だ。しかし、日本政府は2017年保全状況報告書で強制労働などの用語は使わず、むしろ「朝鮮半島出身者が、日本の産業現場を支援したということを理解できるように展示をする」と答えた。これにユネスコは昨年7月のバーレーン会議でもう一度以前の勧告を想起すべきだとし、来月1日までに日本に保全状況報告書を提出するよう決定した。
日本政府の報告書の提出まで一週間を切ったが、朝鮮人強制労働の事実をきちんと反映する可能性は低いとみられる。強制動員ネットワークは今月初め、日本政府に再調査を要請したが、日本政府関係者は最近、口頭で「再調査する必要はない。この調査で十分である。日本政府の見解」だと答えたと、同団体は明らかにした。