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米国市民権を取得できなかった養子4万9千人を救済する法案、制定へ動き

登録:2019-11-15 09:57 修正:2019-11-15 12:45
養子縁組後、両親の離婚、故意の申請漏れで不利益を被る 
韓国人有権者連帯など「養子の平等のための全国連帯」発足 
「親が市民権者なら自動的に・遡及して市民権付与する法案推進」 
「共和党の中核人物も法案に参加...聴聞会など構想」
2歳の時の1984年に米国で養子縁組されたリアさん(37)が13日、ワシントンの連邦議会ビルで市民権のない自分の人生について語っている。彼女は養子縁組直後に養父母が帰化手続きを済ませず離婚したためいまだに市民権がない=ワシントン/ファン・ジュンボム特派員//ハンギョレ新聞

 1982年に韓国で生まれ、1984年に米国で養子縁組されたリアさん(37)は米国で35年間暮らした。学校を終え、米海軍に入隊し、10年間軍に服務もした。彼女は軍服務中だった2007年、自分が所属する部隊がイラクに派遣される時、一緒に行くことができなかった。イラクに行くには秘密扱い認可を受けなければならなかったが、米国の市民権がなかったためだ。いまだに彼女に市民権がないのは、米国に養子縁組された直後に養父母が帰化手続きを済ませないまま離婚してしまったためだ。韓国語が話せない彼女の現在の法的身分は、「米国の永住権を持つ韓国国籍者」だ。

 リアさんは13日(現地時間)、米国連邦議会ビルで開かれた「養子の平等のための全国連帯」(National Alliance for Adoptee Equality)発足式に参加し、このような自分の人生を紹介して「私は米国のために戦った。米国は私のために戦わなければならない」と述べた。

 米国にはリアさんのような人が多い。1945年から1998年まで海外から米国に養子に来た人たちのうち、最大4万9000人が市民権がないものと推算される。このうち韓国出身は2万~2万5000人にのぼるものとされた。海外養子縁組の後、市民権を取得する過程が複雑で多くの時間がかかり、養子縁組家庭で十分な情報がなかったり、誤った情報を得るなどの理由で市民権が得られないケースだ。養父母が意図的に市民権の申請をしないケースもあるという。

 このような被害事例を防ぐための法律が米国にもある。クリントン政権時代の2001年、「外国で生まれた養子は、養子縁組家庭の両親のうち少なくとも一人が米国市民の場合」、自動的に米国市民権を与えるようにする児童市民権法が制定された。しかし、この法は制定日(2001年2月27日)基準で満18歳未満の養子縁組児童たちにだけ適用されたため、リアさんはわずか数カ月の差でこの法の恩恵を受けることができなかった。リアさんのように、養父母の事情などの理由で市民権を得られなかったまま2001年2月27日基準で18歳を超えた成人は数万人という話だ。

 この法の弱点を補完しようと、児童市民権法制定当時成人になった海外出身の養子たちに自動的で遡及的な市民権付与を促す「養子市民権法案」が2016年から毎会期ごとに発議された。しかし、共和党の反対に遭い、議会通過に失敗した。今年は5月に民主党のアダム・スミス下院議員が発議し、14日現在、共和党16人、民主党14人が共同発議者として参加した。上院にも同じ内容の法案が発議されている。

 この日発足した「養子の平等のための全国連帯」はまさにこの法案を今回必ず成立させるために民間団体が一丸となった団体だ。米州韓人有権者連帯(KAGC、代表キム・ドンソク)とホルト児童福祉会、養子権益キャンペーン(ARC)が力を合わせた。この日の発足式には、法案発議者のスミス議員をはじめ、ロブ・ウダール(共和党)、グレース・メン(民主党)、ギル・シスネロス(民主党)議員が参加して祝辞を述べた。

 同団体は今後、より多くの共和党と民主党議員の法案賛同を引き出すため、議員との接触を広げる一方、民間人を相手に「市民権のない養子」の実態を知らせるなどの活動を展開していく計画だ。数年間失敗してきた法案だが、今回は自信があるという。

 韓人有権者連帯のソン・ウォンソク事務局長は「今回は共和党で保守性向の連盟であるフリーダム・コーカスの会長のアンディ・ビッグス下院議員と下院共和党政策委議長のゲイリー・パルマー議員なども共同発議者として参加しており、共和党の支持を得ることができると思う」とし、「最大限多くの共同発議者を参加させて、議会内で聴聞会を開く案などを構想している」と話した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/917124.html韓国語原文入力:2019-11-15 01:21
訳C.M

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