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[コラム]小学館と「嫌韓」報道

登録:2019-09-04 04:50 修正:2019-09-04 08:26
//ハンギョレ新聞社

 小学館は特にマンガ好きの韓国人にとってはかなり馴染みのある名前だ。 週刊少年サンデーから『タッチ』『名探偵コナン』などの人気作を送り出し、20世紀日本マンガの全盛期を引っ張って来た。 集英社、講談社とともに「ビッグ3」と言われる。

 1922年に小学生のための学習雑誌の出版から出発し、帝国主義時代には軍国主義教育用児童雑誌を出したこともある。 敗戦後、一般書籍で事業領域を広げる中、1969年には学習雑誌に掲載された『ドラえもん』が大ヒットした。 しかし、少なからぬ反戦のメッセージが込められた『ドラえもん』や、2006年には日本と南北朝鮮を行き来しながら活動してきた在日コリアン声楽家の田月仙(チョン・ウォルソン)さんの作品にノンフィクション大賞優秀賞を授与した出版社というイメージと違って、月刊「サピオ」など発行雑誌は保守的性向を持つと評される。

 最近発行された「週刊ポスト」は、「韓国なんて要らない」という特集を組み、批判にさらされた。「『嫌韓』ではなく『断韓』だ」「厄介な隣人にサヨウナラ」という刺激的な文句と共に、「怒りを抑制できない『韓国人という病理』」「(韓国の)東京五輪ボイコットで日本のメダル数が2桁増?」という露骨な隣国非難の内容に、「嫌悪報道」という作家の反発が相次いだ。 雑誌へのエッセイ連載中止を宣言した作家、「今後小学館の仕事はしない」と述べた哲学者がいる一方、在日コリアン作家の柳美里(ユ・ミリ)は「日本で暮らす韓国・朝鮮籍の子どもたち、日本国籍を有しているが朝鮮半島にルーツを持つ人たちが、この新聞広告を目にして何を感じるか、想像してみなかったのだろうか? 」と「人種差別と憎悪を煽るヘイト・スピーチ」を批判した。

 インターネットに右翼的な文を書く日本人はインターネット利用者全体の1%という調査もある(小熊英二、『民主と愛国』韓国語版序文)。問題は、不況の出版社にはそれなりに「採算のとれる」市場になっているということだ。 特に、済州島で女性たちに対する日本軍「慰安婦」の強制連行が行われたと証言した、いわゆる「吉田証言」関連の記事が誤報だったと2014年に朝日新聞が認めて以来、嫌韓・反韓コンテンツは露骨になるとともに急増した。

 「週刊ポスト」は批判が殺到すると謝罪文を出したが、「他のご意見」もあるというニュアンスを漂わせ、あいまいな謝罪にとどまった。 3日、ジャーナリストの青木理氏(『日本会議の正体』著者)は放送に出演し、「雑誌が全般的に売れなくなってくる中で、排外主義だったネトウヨ的な特集をすると、それなりに売れるというところにすがりついている。テレビなんかでも、韓国をたたいておけばウケるという風潮がものすごく強まっている」と述べたが、氏の指摘は日本社会の「嫌韓報道」の現状を示しているようだ。

キム・ヨンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/908269.html韓国語原文入力:2019-09-03 16:40
訳D.K

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