「やめろ、やめろ」
日本の参議院選挙の運動最終日である20日午後7時20分頃、東京の秋葉原駅。 ハンギョレが直接行ってみた安倍晋三首相の最後の選挙遊説は、ヤジのために何を言っているのか、よく聞こえないほどだった。自民党があらかじめ準備した大型スピーカーのそばまで接近するとようやく、大声を張り上げる安倍首相の演説が耳に入ってきた。
安倍政府に批判的な人々はこの日、秋葉原駅前の遊説現場に「恥を知れ」「安倍やめろ」「消費税引き上げは国民に対する犯罪だ」などと書いたプラカードや旗を掲げ押し寄せた。遊説参席者300余人のうち「安倍批判者」は充分に100人を超えると見えた。
「年金返せ」というスローガンを叫び続ける人もいた。日本の金融庁が先月、65歳男性と60歳女性の夫婦が今後30年間職業なしで生きていくには、公的年金の他に追加で2000万円が必要だとの内容を発表したことに対する批判だった。選挙への悪影響を憂慮した安倍政権は、この報告書を政府次元では受領しないとの発表で批判を和らげようとした。
2017年10月の衆議院選挙の時も、秋葉原の遊説現場に安倍首相をやじる人々の姿はあったが、今回はその数がはるかに多く見えた。安倍首相がヤジを意識して参議院選挙の運動期間に一般には日程を事前公示しなかったため、予想が容易な最後の遊説現場に人々が押し寄せたと見られる。
2012年末に再執権した安倍首相は、主要な選挙で最後の遊説場所を秋葉原にしてきた。2013年と2016年の参議院選挙、2014年と2017年の衆議院選挙、2017年7月の東京都議会選挙の最後の遊説を秋葉原で行った。安倍首相が秋葉原を好む理由は、自民党支持率が比較的高い若者がたくさん集まる繁華街であるためという分析が多い。
この日の遊説で安倍首相の支持者たちは、彼の演説の度に日章旗を打ち振り歓呼した。「日本の明日を切り拓く」という自民党の今回の選挙スローガンが刷られた大型の旗を掲げた人々も多かった。支持者と批判者が互いに「押すな」と神経戦を行いもした。現場には警察官が動員され、両側陣営の衝突を防いだ。
安倍首相の演説内容は、2017年の衆議院選挙と比較した時、憲法改正への意欲をくっきりと表わしたという点で違いがあった。2017年には、北朝鮮のミサイルと核実験政局を利用して、安倍政権が北朝鮮の脅威を最大限に強調した。秋葉原最後の遊説演説の3分の1ほどが北朝鮮脅威論だった。
しかし今回は、演説開始から4分20秒後に憲法の話を持ち出した。安倍首相は「自衛隊は24時間、国民の生命を守るために全力を尽くしている。このような自衛隊を、共産党は憲法違反だと言っている。(第一野党の)立憲民主党は(野党)統一候補を出して共産党を応援している」と野党を集中攻撃した。安倍首相が一生の課題だと言った憲法改正に対する執念が鮮明にあらわれた最後の遊説だった。