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韓国に対する輸出規制の論理に“サリン”を持ち出した日本の狙いは?

登録:2019-07-10 21:55 修正:2019-07-11 08:04
WTO協定違反の指摘を回避でき 
“オウム真理教トラウマ”刺激し世論に有利
毒ガス事件を起こしたオウム真理教の集会=資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本が、半導体の材料などの韓国への輸出規制の理由として、一部の物品が毒ガスのサリンに転用される恐れがあるという論理まで持ち出した。日本国内でも輸出規制が自由貿易の精神に反する措置という批判があふれ、日本の世論をコントロールするために自国の人々の“サリン毒ガスフォビア(恐怖症)”と反北朝鮮世論を活用しているのではないかとの指摘が出ている。

 NHKは9日夕方、匿名の日本政府関係者の話を引用して「(韓国を対象とする輸出規制を加えた)原材料は、化学兵器のサリンなどに転用される可能性があるにもかかわらず、一部の韓国企業が発注先の日本企業に急いで納品するよう迫ることが常態化していた」とし、「こうした状況が続けば、軍事転用も可能な物資が韓国から大量破壊兵器を開発するほかの国に渡るリスクを排除できないという懸念があり、今回の措置に踏み切った」と報道した。

 理論的には、日本が4日に輸出規制を始めた品目の一つで、半導体製造などに使われるフッ化水素がサリンの合成原料にも使われることはありうる。だが、すべての二重用途物資はこうした両面性を持っているにもかかわらず、日本政府が“サリン”と用途を特定したことは、日本の国内世論に向けた狙いがあるという分析が少なくない。韓国を相手とする輸出規制の名分が弱いという批判が強まると、フッ化水素の危険性を強調し批判を薄めようと試みているということだ。サリンは、1990年代に日本国内の宗教団体のオウム真理教が大量に散布し多数の人命を殺傷した毒ガスとして有名だ。このために日本社会でサリンは極度の嫌悪を呼び起こす物質だ。

 また「二重用途物資が韓国からほかの国へ渡るリスク」を言及することによって、フッ化水素が北朝鮮に渡ることもありうるという雰囲気を漂わせている。これに先立って、安倍晋三首相は7日、「韓国は『(対北朝鮮)制裁を守っている』 『(北朝鮮に対して)ちゃんと貿易管理をしている』と言っているが、徴用工(強制徴用)問題について国際的な約束を守らないことが明確になった。貿易管理も守らないと思うのは当然だ」として、北朝鮮問題と今回の規制を連結するニュアンスの発言をした。

 これは、北朝鮮問題では事実上反論や批判が難しい日本の情緒を念頭に置いた布石と読み取れる。日本のマスコミも、輸出規制措置の初期には強制徴用判決に対する事実上の対抗措置だとして批判したが、次第に安全保障上の必要を強調する日本政府の発表に従う方向にムードが変わっている。恵泉女学園大学のイ・ヨンチェ教授は「(輸出規制政策に対する)世論が良くないので、(安倍政権が)安保論理にしているようだ。また、北朝鮮脅威論まで持ち出せば(日本国内の)自由主義勢力も強くは反発できない」と憂慮した。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/901331.html韓国語原文入力:2019-07-10 20:26
訳J.S

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