米国防総省が、トランプ政権の新たなアジアアプローチである「インド太平洋戦略」の軍事的側面を具体化した。「法の支配」など共通の価値に基づいた韓国や日本、オーストラリアなど同盟国・パートナー国と連合し、中国の挑戦を抑え、地域内の覇権を維持するというのが核心内容だ。インド太平洋戦略は、欧州とアジアをつなぐ中国の大規模インフラ投資計画である「一帯一路」に対する経済的牽制として主に取り上げられたが、今回、軍事レベルにまで拡大し公式化したのだ。
米国防総省は1日(現地時間)、ホームページを通じて発表したA4用紙54ページ分の「インド太平洋戦略報告書:準備態勢・パートナーシップ・地域ネットワークの推進」で、「この地域に対する我々(米国)の(防御)公約を維持し、我々と同盟国・パートナー国の利益を守るために行動する」と宣言した。米国は具体的行動綱領として、抑止の保障と脆弱性を軽減するための十分な資源確保と投資(戦力の強化)▽地域パートナー国の実力の強化▽国際法・国際規範と航行の自由など規範に基づいた世界秩序の維持▽有事と弾力的備えに必要な接近の提供▽情報共有を含む相互運用性の強化▽自由で開かれたインド太平洋のために地域が主導する計画の推進と参加などの内容を挙げた。米国の価値に従う地域国と協力し、これらの能力を強化することで、同地域の平和と米国の利益を守っていくという構想だ。同報告書は「米国は同じ考えを持つ同盟国・パートナー国と共に、この躍動的で早い発展を遂げている地域に関与していく」とし、特に「強圧や力ではなく、法による支配が確保されるよう努力する」と強調した。
米国が覇権の維持のために活用する二つの軸に掲げたのは、米日同盟と韓米同盟だった。報告書は米日同盟を「インド太平洋地域の平和と繁栄の礎(cornerstone)」と表現し、韓米同盟はそれより範囲が狭い「朝鮮半島と北東アジア平和と繁栄のためのリンチピン(核心軸)」と表現した。これによって自衛隊は、米国の第1同盟として西太平洋からインド洋に至る広い地域で、軍事的役割を拡大していくものと見られる。
韓国については、韓米が「情報・監視・偵察(ISR)の役割を強化し、強固で重層的な弾道ミサイル防衛(BMD)計画を発展させる」という内容を盛り込んだ。米中両国の間で、厳しい二択を迫られた「高高度防衛ミサイル(THAAD)をめぐる軋轢」が再発する可能性があることを暗示する部分だ。北朝鮮に関しては、「最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)が達成されるまで、米国の安全保障への挑戦」として残ると強調した。
同戦略の核心は、米国が自国の軍事力だけに依存する代わりに、中国の“弱点”とされる「法の支配」などの価値を掲げ、地域国家との自発性に基づいた「協力・分業ネットワーク」を構築するということだ。これを示すように、パトリック・シャナハン米国防長官代行は1日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で、米国の目標は「共同の目標を支援する協力的な地域安保ネットワークの構築を推進すること」だと指摘した。また「この地域の最大かつ長期的な脅威は、規範に基づく国際秩序を崩す国々」だとし、その例として、紛争地域の軍事拠点化▽経済的搾取▽当局による科学技術の窃盗などを例に挙げた。国名は直接言及しなかったものの、中国に対する批判だ。
シャナハン代行の発表直後、邵元明中国中央軍事委連合参謀部副参謀長は記者会見を開き、「島の安全保障のために必要な防御施設を設置するのは、主権国家の当然の権利であり、挑発行為に対して必要な反応だ」と述べた。