米国がイランに対する圧迫を強め、戦争を懸念する声が上がっている中、黒幕とされるジョン・ボルトン国家安保補佐官に批判の矛先が向けられている。
「スーパータカ派」と呼ばれるボルトン補佐官は最近、「有事の際、中東に12万の兵力派兵検討説」など、対イラン軍事圧迫の根源地とされている。ボルトン補佐官は昨年4月にホワイトハウス入りするまで、北朝鮮に対しても先制攻撃すべきだと主張していた。今月初め、ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権を追放するため軍事蜂起を進めるべきと主張し、恥をかいたこともあった。
CNNは15日、「ボルトンはドナルド・トランプ大統領に戦争をささやく者(war whisperer)」という見出しの記事で、「トランプとボルトンは、ベネズエラや北朝鮮政策においては互いに意見の相違があるかもしれないが、二人の立場が同じように見える国がまさにイラン」だと指摘した。また、「ボルトンはイランに対する嫌悪を長いこと抱いている」とし、彼が2015年「イランは交渉で核をなくさないだろう」として爆撃を主張したことを喚起させた。トランプ大統領は、ボルトン補佐官の就任から1カ月後、イラン核協定からの脱退を宣言した。
大統領候補のバーニー・サンダース上院議員(無所属)は、CNNとのインタビューで「(対イラン圧迫が)ボルトンの影響だと思うか」という質問に対し、「そうだ」としたうえで、「彼はイラク戦争の設計者の一人で、戦争を好む。彼はイラク戦争で教訓を得られなかった」と答えた。ボルトン補佐官はブッシュ政権時代、国務省の軍縮・国際安保担当次官で、イラク侵攻に重要な役割を果たした。
ニューヨークタイムズ紙も14日付で、ボルトン補佐官がイランを窮地に追い込むようトランプ大統領に合図していると、米国と欧州の官僚たちの話を引用して報じた。ある米高官は「イランの脅威が高まっているという情報は“些細なこと”だ。ボルトンが主導する軍事計画が必要な事案ではない」と述べた。「ロサンゼルス・タイムズ」は、スタンフォード大学のコーリン・カール元国際安保協力センター共同代表とジョン・ウルフスタール元ホワイトハウス国家安保会議先任補佐官の寄稿を掲載したが、題名は「これはジョン・ボルトンの時代だ。トランプはその中で生きているだけ」だった。彼らは「ボルトンは長年の野心を達成するなら、彼は我々を一つではなく、複数の戦争へと追い込むことになるだろう」と主張した。
トランプ大統領はこのような見解に不満を露にした。彼は15日、ツイッターに「フェイクニュースのワシントンポストとニューヨークタイムズが私の強力な中東政策に内紛があるという記事を書いている。いかなる内紛もない」という書き込みを残した。また「様々な意見が出されるが、私が最終決定を下す」と述べた。彼は9日「ボルトンが強硬な見解を持っているが、大丈夫だ。私がボルトンを抑えている」とも語った。