北朝鮮外交の“実力者”に浮上したチェ・ソンヒ外務省第1次官が、マイク・ポンペオ米国務長官を公開的に批判し、「時限内に自分の立場を再確立して持って出なければ、米国は望まない結果を見ることになるだろう」と圧迫した。非核化交渉に関与する朝米両国の関係者が、交互にメディアとのインタビューを行い、神経戦を繰り広げている格好だ。北朝鮮はこれに先立ち、ポンペオ長官を交渉から外すことを要求した。
チェ第1次官は30日、北朝鮮官営の「朝鮮中央通信」の記者の質問に答える形で「我々の非核化の意志に変わりはなく、時期になれば非核化を行うつもりだが、それはあくまでも米国が現在の思惑を変え、立場を再確立する条件のもとでのみ可能だ」とし、このように述べた。チェ第1次官は「米国が云々するいわゆる『経路変更』について言うならば、それは米国だけの特権ではなく、我々がそれを選ぶ可能性もある」と圧迫した。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がこれまで何度も明らかにしてきた非核化の意志を再確認し、発言のレベルを調整すると同時に、米国の態度の変化を圧迫したのだ。外務省談話や報道官声明などの高いレベルではなく、記者との質疑応答の形を取ったのも、発言のレベルを調整するためと見られる。
同日、チェ第1次官は4月24日(現地時間)、マイク・ポンペオ米国務長官がCBS放送と行ったインタビューを真っ向から批判した。当時ポンペオ長官は、朝米非核化交渉について、「それ(交渉)が失敗した場合、その時は我々も明確に経路を変更しなければならないだろう」と述べた。このような発言は、米国が対話による交渉の代わりに、北朝鮮に軍事的圧迫を加える方法で北朝鮮核問題を解決する意向を示したものとして受け止められた。実際、チェ第1次官はポンペオ長官の発言をついて、「これは最大の圧迫と経済封鎖を持っても我々を意のままにできなかったことを受け、軍事的方法を動員してでも我々の制度を崩そうという愚かで危険な発想だ」と非難した。
チェ第1次官はインタビューで、金正恩委員長が先月13日、最高人民会議14期第1次会議で行った施政方針演説に触れ、「米国が今年末までにきちんとした計算法を持ってくれば、核問題を解決できるという期限を(金委員長が)提示した」としたうえで、金委員長が当時の演説で、米国の「一方的で善意に基づかない態度に対して、強力に叱咤」するとともに、朝鮮半島の平和と安全が「米国の今後の態度にかかっている」として、北朝鮮が「あらゆる状況に対応する」という立場を示した点も強調した。
チェ第1次官は10日前の先月20日にも、「朝鮮中央通信」の記者の質問に答える形で、ホワイトハウスのジョン・ボルトン国家安保補佐官の発言を批判した。ボルトン補佐官は17日(現地時間)、「ブルームバーグ通信」とのインタビューで、「3回目の朝米首脳会談に先立ち、何を見たいと思っているか」という質問に対し、「北朝鮮が核兵器を放棄するための戦略的決定を行ったという真摯な兆候」だと答えた。このインタビュー記事が掲載された後の20日、チェ第1次官は「ボルトンのこの発言は、3回目の首脳会談と関連した朝米首脳の意思に対する無理解に起因するのか、それとも彼なりにユーモアを交えて答える過程で、的外れな発言になったのかは分からないが、とにかく、私には魅力もなく、愚かに聞こえる」としたうえで、「警告するが、これからこのように分別のない発言が続いた場合は、あなたたちにとっても良いことはないだろう」と、厳しく批判した。