北朝鮮が米国のマイク・ポンペオ国務長官とジョン・ボルトン国家安保補佐官の最近の対北朝鮮強硬発言に対抗し、米国の対北朝鮮「代表交渉窓口」の交代の必要性を遠まわしに提起した。
北朝鮮外務省のクォン・ジョングン米国局長は「米国との対話が再開された場合でも、私はポンペオ(国務長官)ではなく、我々との意思疎通がより円満で、円熟した人物が対話の相手になることを望んでいる」と述べたと、「朝鮮中央通信」(中通)が18日付で報じた。クォン・ジョングン局長は中通の記者との問答形式を借りて、「うまく進んでいる場合でも、ポンペオが入ると話がこじれ、成果なしで終わったりする。私が憂慮するのは、ポンペオが会談に関与すると、またも状況がややこしくなり、話がこじれる恐れがあるということだ」とし、このように述べた。
クォン局長の発言には、朝米交渉における米国の代表窓口を、ポンペオ長官ではなくほかの人に替えてほしいというメッセージが含まれている。ただし、北朝鮮側の対米交渉窓口の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長やチェ・ソンヒ外務省第1次官の実名談話や外務省報道官談話など、公式性の高い方式を避けたうえ、クォン局長が主張の主体を「共和国(北朝鮮)」でななく、「私」に限定したことから、「公式の交代要求」と見るのは難しい。しかし、北朝鮮側が今後「ポンペオ長官の交代要求」を公式化する場合、朝米交渉など朝鮮半島情勢への悪影響は必至だ。ポンペオ長官は米国の対外政策の総括責任者であるからだ。
北朝鮮事情に詳しい元高官は「ポンペオ長官とボルトン補佐官の対北朝鮮発言がますます強硬になっていることを受け、それに負けじと神経戦を繰り広げているものと見られる」とし、「神経戦がさらに悪化し、実際の衝突に飛び火しないよう、韓国政府が積極的な役割を果たさなければならない」と述べた。これに先立ち、チェ・ソンヒ第1次官も3月15日、平壌(ピョンヤン)駐在の外国公館長らを対象にしたハノイでの第2回朝米首脳会談の説明会で、「米国務長官のポンペオやホワイトハウス国家安保補佐官のボルトンは、既存の敵対感と不信の感情から、両首脳間の建設的な交渉努力に障害を作った」と批判した。
クォン局長は、金正恩国務委員長が12日の最高人民会議での施政方針演説で明らかにした「対米立場に込められた意味」が、「米国は我々を核保有国に追い込んだ根源、非核化を妨げる障害物を、自らの手で今年末まで片づけなければならないということ」だと説明した。「対北朝鮮敵視政策」を年末以前に変えるなど、米国が先に行動することを求めているということだ。
ただし、クォン局長は「幸いなことは、我が(金正恩)委員長がトランプ大統領と親しくしていることを喜ばしく思っていることだ」と強調した。“トップダウン方式”の交渉に対する望みを示したものと言える。