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米中貿易戦争…韓国・日本・台湾のIT企業に“飛び火”

登録:2019-05-15 22:06 修正:2019-05-16 07:27
間に中間部品の輸出が多いが 
完成品に25%の関税賦課で打撃 
実績急落したサムスン電子など悩み
米中貿易戦争の鍵を握ったドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席//ハンギョレ新聞社

 米通商代表部(USTR)が13日(現地時間)、スマートフォン、ノートパソコンを含む事実上すべての中国商品に最高25%の関税を賦課するための手続きに着手すると明らかにし、中国向け電子部品輸出の比重が高い韓国・日本・台湾などの情報技術(IT)企業が大きな打撃を受けることになった。米中貿易戦争で輸出市場の不確実性が高まり、第1四半期に実績が急落したサムスン電子などの憂いが深まる展望だ。

 国際通貨基金(IMF)は、昨年出したスマートフォン・サプライチェーン(供給網)分析報告書(「地球上の5人に1人が持っている新しいスマートフォン」)で、世界のスマートフォン供給は「過去数年間で複雑に進化してきたいくつかのアジア諸国の中国に対する(中間材)輸出と、中国でなされる最終組立作業によって支えられている」として「複雑なサプライチェーンの主な貢献者は、日本・韓国・台湾・マレーシア・シンガポール」と指摘した。報告書は、2016年の韓国の対中国スマートフォン部品輸出額が244億ドル(輸出全体に占める中国の比率は80.3%)で最も多く、日本(92億ドル・41.1%)、台湾(46億ドル・87.2%)、マレーシア・シンガポール(30億ドル・54.1%)の順だとした。韓国が他の国々より輸出金額でも比率でも中国に大きく依存していることがわかる。

 米中貿易戦争が本格的な戦争拡大に駆け上がれば、韓国経済を支えてきたこのサプライチェーンが揺れ動くことになる。米通商代表部が公開した25%関税賦課対象の3800品目を見ると、これまでは除外されていたスマートフォン、ノートパソコン、デジタルカメラ、モニター、テレビ用ゲーム機などの電子製品が数多く含まれた。これらの製品が米国市場で25%の高率関税を賦課されれば、中国企業のみならず部品供給企業までが連鎖的に打撃を受ける。

 スマートフォンの生産のために韓国・ベトナムはメモリー半導体、日本・マレーシア・シンガポール・韓国・台湾は非メモリー半導体、日本・韓国はディスプレイを中国に輸出して、“世界の工場”である中国がそれらの部品を集めて組立を引き受けている。アップルのiPhoneは、米国カリフォルニアの本社で設計図を作り、中国に大型工場を持っている台湾企業のフォックスコン(鴻海精密工業)が東アジア各国から部品を集め、完成品を下請け生産している。サムスン・LGなど韓国の代表企業らは、このサプライチェーンの中核の参加者として大きな成果を上げてきた。中国のスマートフォン輸出額は1069億ドル(2016年)で、輸出全体の5.1%の比重を占める。

 25%関税賦課が現実化すれば、iPhoneの最新モデルXSの価格は現在の990ドルから1159ドルに上がると展望される。最大輸出先の米国(28%)で販売減少が避けられない。中国は650ドルを基準として、iPhone1台を売る時に中国に落ちる金額は8.5ドルしかないという立場だ。

 中間材輸出企業も、中国に劣らず焦らざるをえず、対中国輸出で活路を切り開いてきた韓国経済も貿易戦争悪化の直接影響圏に置かれることになる。韓国貿易協会の資料によれば、韓国の中間材輸出に占める中国の比重は、2000年代中盤以後、着実に30%前後を記録してきた。15日、日本経済新聞はフォックスコンの郭台銘会長が「貿易戦争の終わりが見えない」と話したと伝えた。中国に進出した一部の台湾企業は、ベトナムなどに工場移転を検討していると伝えられた。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/894059.html韓国語原文入力:2019-05-15 19:25
訳J.S

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