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“主語”が消された強制動員…日本教科書、歴史認識も後退

登録:2019-03-26 20:47 修正:2019-03-27 07:31
教育出版の社会科教科書、責任主体が曖昧な叙述に変更 
日本ユネスコ文化遺産として軍艦島の写真と共に紹介 
「韓日友好を強化している」など交流に関連する叙述も縮小
東京書籍の小学校社会科教科書に載った日本の世界文化遺産。地図と写真で軍艦島と呼ばれる端島は登場するが、朝鮮人強制動員に対する言及はない//ハンギョレ新聞社

 「植民地だった朝鮮の人に、名前を日本式に変えさせたり日本軍兵士として徴兵し戦場に送ったりした」

 26日、日本の文部科学省検定を通過した日本教育出版の小学6年生の社会科教科書には「主語のない文章」が登場する。日帝強制占領期間(日本の植民地時代)の末期に日本政府が朝鮮人に強要した創氏改名と強制動員を叙述したが、この政策を推進した「日本政府」の責任が曖昧にされたのだ。2014年の検定を通過した現行教科書には「政府」という主語が明示されている。

 主語を抜いた例は他にもあった。東京書籍は、1923年9月関東大震災を記述して「多数の朝鮮人と中国人が殺害される事件があった」と書いた。少なくとも6千人余りの朝鮮人を虐殺した主体である日本軍・警察と自警団にはまったく言及しなかった。これに先立って日本政府は、日本軍慰安婦問題に対する12・28合意や2015年8月の「安倍談話」でも自己の責任を明確にしなければならない主要な文章で主語を省略したことがある。

 こうした日本の後退した歴史認識を見せる一節が、検定を通過した小学校教科書で少なからず目につく。日本政府は、学習指導要領解説に「多くの国家、特にアジアの様々な国の人々に莫大な損害を及ぼしたことなど、大戦が人類全体に及ぼした影響を(児童たちが)理解するようにしなければならない」と明示した。だが、安倍晋三首相が主導してきた“歴史覆し”の影響のためか、アジア周辺国に及ぼした被害を詳細に記述した内容は多くなかった。

 責任を曖昧にする態度は、2016年に韓日間の外交懸案に浮上した軍艦島関連記述でも目につく。東京書籍の社会科教科書は、日本の「世界文化遺産」を紹介して軍艦島という別名で広く知られる長崎県端島の写真を入れ地図に位置も表示した。だが、朝鮮人強制動員に対する言及はなかった。中世史では教育出版が文禄・慶長の役の説明で従来の「侵略」という表現を除き、「朝鮮に大軍を送った」とだけ記した。

 日本の戦争責任に言及した教科書は、日本文教出版の1種だけだった。この教科書は「戦争などでアジアの人々に大きな被害をもたらしたこともあった。このような歴史的事実を忘れずに、お互いの国家を尊重し、さらに強い友好と信頼関係を構築していくことが重要だ。日本に対して戦争中の被害の責任を問う声が今でもある」という内容を入れた。だが、この出版社は、日本が朝鮮半島を植民地にする決定的契機となった露日戦争を「欧米帝国の進出と支配で苦痛を受けるアジアの多くの国の人々に独立に対する自覚と希望を与えた」と美化した。

 韓日交流や韓国関連叙述も縮小された。日本文教出版の現行教科書には「韓国と2002年ワールドカップを共同開催するなど、友好を強化している」という一節があるが、今回は「友好を強化している」という部分が無くなった。日本の古代文明に及ぼした朝鮮半島出身者らの影響に関する記述も縮小された。現行の教科書は「(朝鮮半島)渡来人が大陸から文化と技術を伝えた」と叙述していたが、新しい教科書ではこれも削除された。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/887468.html韓国語原文入力:2019-03-26 17:04
訳J.S

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