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3・11東日本大震災8周年迎えた日本…未だ癒えない傷

登録:2019-03-10 21:14 修正:2019-03-11 08:22
津波被害を受けた高校校舎、一般公開 
まだ遺体が見つからない行方不明者2533人 
福島原子力発電所廃炉にはまだ難題が山積 
汚染水・汚染土の処理も解決困難
先月20日、福島県大熊町でフォークレーンが作業をしている。後方には汚染土を保管している黒い袋が見える=大熊/ロイター聯合ニュース

 「紙のようにしわがよったロッカー、津波で教室に流されてきた自動車、凄惨につぶれたドアと窓」

 10日に公開された宮城県気仙沼市の気仙沼向洋高等学校の校舎には、8年前この地域を襲った3・11東日本大震災と津波による傷がそのまま残っていた。8年前の“その日”である2011年3月11日、海岸から約500メートル離れたこの学校に巨大な津波が押し寄せ、海水は校舎の4階まで上がった。

 気仙沼市は、3・11東日本大震災8周年を翌日に控えた10日、この校舎を公開した。市は、3・11の悲劇を後世に伝えるため、この校舎を永久保存する予定だ。

 保存の決定には反対意見も少なくなかった。NHKが東日本大震災被害地域の住民と避難民1608人を対象に世論調査をしたところ、建築物の保存に賛成する人は28.2%(反対35.4%)に留まった。反対する人々は「震災のことを思い出したくない」(50.4%)を主な理由に選んだ。それほど日本人にとって東日本大震災の傷は今も鮮明だ。

 8日現在、3・11東日本大震災による死亡者数は1万5897人、行方不明者は2533人と集計されている。目を引くのは、大震災以後に発生した東京電力福島第1原発の惨事によって、今も5万2000人が避難生活をしているという点だ。

 日本社会は、福島第1原発の廃炉問題で頭を痛めている。東京電力は、40年程度の時間をかけて廃炉作業を終える計画だが、随所に難題が山積している。廃炉のためには、炉心溶融(メルトダウン)で溶け落ちた原子炉圧力容器内の核物質を引き出さなければならない。しかし、そこには人が接近すれば命を失うほどの致命的な放射線が放出されている。東京電力は、ロボットなどを投じて安全な回収方法を模索してきたが、8年経っても炉心溶融が発生した原子炉3機のどこからも溶融核物質を引き出すことができなかった。そのために1986年に原発事故を起こした旧ソ連のチェルノブイリ原発のように、原子炉をコンクリートで覆ってしまう方式が代案として浮上している。しかしこの方式は、日本政府が推進する復興計画に相反するので、推進は容易でない。

 福島原子力発電所で発生する汚染水の処理問題も結論を下せずにいる。福島原子力発電所では、今でも一日100トン以上の汚染水が発生している。東京電力は、多核種除去施設(ALPS)を通じて、トリチウム(三重水素)を除く放射性物質を浄化したと主張してきた。しかし、昨年浄化したという水から基準値を超える放射性物質が検出された。日本政府と東京電力は、原子力発電所周辺の水タンク900本余りに保存中の莫大な汚染水を海に流す計画を推進してきたが、地域住民の反対で容易でない状況だ。

 放射能に汚染された土壌にも確実な処理方法がない。適当な保管場所がなくて、いまだに学校や保育園にこれを保管している地域もある。数年以内に福島県にある中間保存施設に汚染土と汚染物質を移す予定だが、最終処分場の敷地はまだ決められずにいる。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/885297.html韓国語原文入力:2019-03-10 20:17
訳J.S

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