2011年3月、福島第1原発事故の後、原子力発電所1~4号機に保管された放射能汚染水が111万トンに達することが明らかになった。ソウルの汝矣島(ヨイド)にある「63ビルディング」を一杯に満たす量だ。日本政府と第1原発の事業者である東京電力は、汚染水の浄化が充分でないという指摘にもかかわらず、海に放出する方案を検討していて国際的論議が予想される。
国際環境団体グリーンピースは「東京電力が自ら招来した福島原子力発電所汚染水」報告書(ショーン・バニー・グリーンピース ドイツ事務所首席原子力専門家作成)を22日、全世界に同時公開した。報告書によれば、昨年12月13日基準で東京電力の放射能浄化処理施設アルプス(ALPS・多核種除去設備)を経た後にタンクに保管中の放射能汚染水は98万8千トンを超える。原子炉とタービン建物に残っている水の量も2万8千トンに達する。汚染水は毎週2千~4千トンずつ増えている。
放射能汚染水が増え続ける理由は、大きく分けて2つある。2011年の事故当時、溶け落ちた原子炉核燃料の温度が高まり2次化学反応を起こすことを防ぐために、毎日相当量の冷却水を1~3号機の原子炉に注水した。また事故が起きた原子力発電所は、海水面に近い低地帯に建設されたため、地下水や雨水が原子炉側に集まるようになっている。
この水は溶融燃料などに接触しセシウム・コバルト・ストロンチウム・アンチモン・三重水素(トリチウム)などの放射能を帯びることになるが、この汚染水をどのように処理するかは2011年から論議の的だった。日本政府と東京電力は、まず2013年9月に本格稼動した多核種除去施設ALPSを通じて、三重水素を除く62種類の放射性核種を除去することにした。また、原発敷地全体に液体冷媒が流れるパイプ1671本を打ち込み、地中を凍らせる“凍土壁”(アイスウォール)を2014年6月から建設し、地下水の流入を減らすことにした。
しかし、日本政府と東京電力は浄化と防水のすべてに失敗したことが分かった。東京電力は昨年9月、第1原発内のタンクに保管中の浄化済み汚染水94万トンのうち89万トンを分析した結果、84%に及ぶ75万トンから基準値を超える放射性物質が発見されたと明らかにした。また凍土壁を設置したものの、地下水を通じて汚染水は毎日130トンずつ増えているのが実情だ。
汚染水の保存タンクは、2021年3月には満杯になると見られる。追加タンクの増設計画はまだない。日本原子力規制委員長は昨年10月、記者団に会い「汚染水を希釈(水を混ぜる)し、海洋に放出することを許容する」と明らかにしたこともあり、放出が差し迫ったのではないかという憂慮が提起されてきた。
日本政府や東京電力が汚染水の放出を検討しているのは“費用”のためだ。2016年の日本の経済産業省の発表によれば、汚染水80万トンを放出するのに7~8年かかり、35~45億円が必要だ。地下埋設には最長76年かかり、その費用は天文学的水準だ。
報告書は「当初汚染水が増加したのは、東京電力が建設および冷却水の使用費用を減らすために、原子力発電所を既存計画(海抜35メートル)を変更し海抜10メートルの低地帯に作ったため」とし「そのために第1原発は事故以前にも毎日地下水と戦わなければならなかった」と指摘した。さらに「東京電力と日本政府は、彼らの前任者が過去に犯した失敗から何の教訓も学ぶことができなかった。残された唯一の解決法は、鋼鉄で作られたタンクに汚染水を中長期的に保存し、その間に処理技術の発展を図ることだけ」と主張した。