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「キム・ボクトンさん、差別される在日コリアンの現実に心を痛めていた」

登録:2019-01-31 06:39 修正:2019-01-31 13:55
昨年、大阪の城北朝鮮初級学校を訪問し、寄付金を手渡す 
コ・チャンウ校長「同胞が差別に苦しんでいることが申し訳ないとおっしゃった」 
ハルモニの義援金などで台風被害の教室を復旧
キム・ボクトンさん(二列目中央)とキル・ウォンオクさん(一番前)が昨年9月28日、大阪の城北朝鮮初級学校を訪れ、台風被害復旧支援金を渡している=正義記憶連帯提供//ハンギョレ新聞社

 「日本で在日同胞が今も差別に苦しんでいるのを見て、申し訳ない気持ちでいっぱいとおっしゃったことが、記憶に残っています」

 大阪の城北朝鮮初級学校のコ・チャンウ校長は、28日に亡くなった日本軍慰安婦被害者のキム・ボクトンさんが学校を訪れた時を振り返りながら、このように語った。キムさんは、日本の朝鮮学校問題に大きな関心を示してきた。朝鮮学校を支援するために2014年に5000万ウォン(約490万円)の種基金を提供し、奨学財団「キム・ボクトンの希望」が作られた。今年9月には台風21号で大きな被害を受けた朝鮮学校の復旧に使ってほしいとして、1000万ウォン(約98万円)を追加寄付し、キル・ウォンオクさんと共に学校を訪問した。コ校長は30日に行ったハンギョレとの電話インタビューで、「キムさんが当時も体調が悪く、2階の講堂に歩いて上れるか心配していたが、歩いて上った。2階には台風の被害で屋根に穴が開いた痕跡が残っていたが、被害状況を詳しく見て回った」と話した。

 キムさんは朝鮮小学校で、幼稚園と初級学校(小学校)児童約60人に対し、約10分間にわたって「頑張って勉強してください。そして堂々と生きてください」と話したという。コ校長は「ハルモニが植民地時代の苦しみがまだ日本の地で違う形で残っているという事実に心を痛めていた」と伝えた。普段は10分もじっとしていられない子どもたちが、その日はしっかり話を聞いていたという。コ校長は「言葉ではなく心で通じたようだった」と振り返った。

 城北朝鮮初級学校は台風の被害で、教室3カ所が使用できなくなったが、キムさんの義援金などで現在は元の姿を取り戻した。キムさんの訪問写真も教務室に飾っており、訪問客が来る度に見せているという。キムさんの訪問から1カ月後、コ校長はキムさんに手紙を送った。「ハルモニのおっしゃるとおり、子どもたちにしっかり勉強を教えます。また、力強く生きていきます。私自身も、大事な城北の子どもたちも強い心と揺ぎない闘志を持ち、堂々と生活できるように、共に成長していきます」と書いた。ハルモニの病状が悪化したと聞いて、年末にも「医学が発展しているから、もう少し頑張ってください」という内容の手紙を送った。

 今月には、子どもたちがキムさんに手紙を書いた。コ校長は「世の中で最も苦難に満ちた人生を歩んできたのがキム・ボクトンさんだが、世の中で最も強いのもキム・ボクトンさんだろう。ハルモニが強く、揺ぎなく生きてきたことを忘れてはならないと思う」と話した。ハルモニはガンで闘病中の昨年11月にも、朝鮮学校のために3000万ウォン(約290万円)を寄付した。

東京/チョ・ギウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/880521.html韓国語原文入力:2019-01-30 16:23
訳H.J

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