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ビーガン代表の対北朝鮮宥和メッセージは朝米首脳会談に向けた水面下での作業か

登録:2018-12-22 06:09 修正:2018-12-22 09:55
南北協力に対する制裁免除で、朝米高官級会談への回答促す 
「信頼構築」措置で2回目の朝米首脳協議での終戦宣言狙うとの分析も 
米国の“小さな誠意”に北朝鮮が応じるかに注目集まる
チョン・ウィヨン国家安保室長が今月21日午後、大統領府で米国の北朝鮮核問題の実務交渉を率いるスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表と会って歓談している=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 韓国と米国が21日、韓米作業部会を開き、南北協力事業の足を引っ張りかねない対北朝鮮制裁の問題を円満に解決した。スティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表が、民間団体に北朝鮮への人道支援を許可する意向を示した発言に続くもので、米国が北朝鮮との対話再開に向けてエンジンをかけたという意味がある。ただし、米国の“小さな誠意”に、北朝鮮が応じるかどうかはまだ不透明だ。

 南北協力事業に対する制裁免除の手続きが完了すれば、今月26日に南北鉄道・道路連結および現代化事業の着工式が予定通り開かれるだけでなく、来年初めに予定された朝鮮戦争戦死者の遺骨共同発掘事業を進めることが可能になる。同日の会議で協議されたタミフルの提供問題は、12日に開かれた南北保健医療実務会議で論議された事案で、統一部は「治療剤のタミフルと迅速診断キットを北側に提供する予定だ」と明らかにした。

 ビーガン特別代表の動きと関連し、チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「対北朝鮮制裁免除措置を事案別に拡大するもの」だと説明した。朝米交渉に詳しい外交筋も「これまでの対北朝鮮制裁の枠組みの中では、(南北協力事業などに)着手することすら難しかった」としたうえで、「(現在の)膠着を打開する主体が米国であることに意味がある」と述べた。同消息筋は「(米国の)明らかな態度変化」だと付け加えた。

 米国側のこのような相次ぐ宥和シグナルは、2回目の朝米首脳会談への橋渡しとして、実務および高官級会談を開催しようという北朝鮮向けメッセージと言える。これはビーガン特別代表が今月19日、仁川国際空港に到着した際、北朝鮮への人道支援を許可する意向を示唆したことが、「ポンペオ長官の指示」だと強調したことからも明らかだ。対北朝鮮強硬傾向に傾いているポンペオ米国務長官に対する北朝鮮側の“誤解”を解くためとみられる。

 ビーガン特別代表は、北朝鮮が要求する北朝鮮制裁を緩和しないと線を引きながらも、信頼構築の措置は検討する準備ができていると述べた。また「(後続の朝米対話で)ドナルド・トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長間の首脳会談に関する具体的事項を協議できるだろう」と述べた。信頼構築の措置を用意しているから、直接聞いてほしいという意味だ。ただし、同日の韓米作業部会で、米国側はこれについて具体的に説明しなかったという。

 米国が考慮する「信頼構築措置」は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今年9月に米国のフォックスニュースとのインタビューで言及した終戦宣言▽人道支援▽芸術団の交流▽経済視察団の訪問▽平壌連絡事務所の設置などとみられる。ク・ガブ北韓大学院大学教授は「(2回目の朝米首脳会談で)終戦宣言を行うことができるという話とみられる」と話した。

 しかし、同日に発表された諸事案が対北朝鮮制裁に大きく抵触しない南北間の協力事業であり、北朝鮮が持続的に主張してきた「根本問題」と関連がないことから、朝米の膠着を解決する原動力として働くことは難しいという分析も少なくない。また、トランプ大統領と直接交渉を望んでいる北朝鮮の交渉方式と、「制裁の緩和はない」という米国のメッセージを考えると、北朝鮮が朝米高官級会談に応じるかどうかも不透明だ。コ・ユファン東国大学教授は「米国が言っているのは、原論的なレベルの制裁例外か(当然推進すべき)人道問題」だとし、「最近北側は(朝米措置間の)対等性を強調し、(北朝鮮は)0.1ミリも動けないという立場を明確にしており、これを正確に理解する必要がある」と指摘した。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/875430.html韓国語原文入力:2018-12-21 21:21
訳H.J

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