国連人種差別撤廃委員会(CERD)が日本政府に、日本軍「慰安婦」問題の解決に向け、完全な被害者中心のアプローチを通じた恒久的な解決策を講じることを勧告した。
国連人種差別撤廃委員会は30日、このような内容が盛り込まれた日本に対する審査報告書を公開した。委員会ホームページに公開された報告書全文によると、同委員会は慰安婦問題を解決しようとする「日本政府の努力が完全な被害者中心のアプローチを採用していない」として、懸念を示した。また、日本政府が慰安婦問題の最終解決策だと主張する韓日本政府間の12・28の合意については、「生存する慰安婦被害者の意見が十分に反映されておらず、その解決策が第2次世界大戦以前や戦中に軍によって行われた女性に対する人権侵害について、(政府の)明白な責任を認めていない」と指摘した。同委員会はまた、慰安婦問題について、日本政府の責任を最小化しようとする日本の公職者たちの発言にも憂慮を示した。
同委員会がこれに対する解決策として提示したのは「被害者中心のアプローチ」だった。同委員会は、日本政府が完全な被害者中心のアプローチを通じて、この問題に対する永久的な解決策を保障し、すべての国籍の慰安婦被害者が含まれるようにし、おぞましい人権侵害に対する日本政府の責任を受け入れることを勧告した。
同委員会は、今月16~17日にスイス・ジュネーブで日本に対する審査を進めた。この場で米国の著名な人権活動家ゲイ・マクドゥーガル委員は「政府間合意で個人の要求を消滅させることは不可能だ」として、日本政府が被害者個人に謝罪と補償を行うことを求めた。マクドゥーガル委員は1998年、慰安婦問題に対する日本政府の法的責任と賠償を要求する国連人権小委員会のマクドゥーガル報告書(1998年)を作った張本人だ。
これに対し、日本政府代表の大鷹正人・国連担当大使は「日本政府は最大限の支援と補償を行ってきた。慰安婦問題は12・28合意を通じて完全かつ不可逆的に解決された」と主張した。国連人種差別撤廃委員会は加盟国の人権状況を4年ごとに一度ずつチェックし、その内容を集めて報告書を作成する。同委員会の勧告は文字通り勧告にすぎず、強制力はない。