「政界では敵と味方が頻繁に変わるので驚く必要はない」
小泉純一郎元日本首相が15日、長年の政敵である小沢一郎自由党代表が運営する東京政治学校で脱原発をテーマに講演した。76歳の同い年である二人の大物政治家は、小沢代表が自民党幹事長、小泉元首相が全国組織委員長だった1989年から対立してきた。しかし、約30年ぶりに和解し、脱原発を共通分母として「反安倍」の旗を掲げたのだ。
小沢代表は、自民党時期に保守本流と呼ばれた「経世会」(現竹下派)の中心的存在だった。一方、小泉元首相は非主流に分類される「安倍派」(安倍晋三現首相の父親の安倍晋太郎が派閥代表・現細田派)所属で、経世会の支配に反発した。
以後、小沢代表は1993年に自民党を離党して「55年体制」と呼ばれる自民党の長期執権体制を崩した。自民党に残った小泉元首相との対立は続いた。2006年には当時首相だった小泉と野党の民主党代表だった小沢が、国会の党代表討論で正面から対立することもあった。
だが、二人は最近意気投合した。小泉元首相が2011年の福島原発事故以後、脱原発論者に変身したためだ。脱核宣言以後、小泉元首相は原発稼動に固執する安倍晋三首相と対立してきた。今年4月には、安倍首相がかかわった私学法人スキャンダルを批判して「信頼が失われた。(自民党総裁)3選は難しいだろう」として苦言を呈しもした。
小沢代表は「安倍打倒」を通した3回目の政権交替に、残りの政治的情熱を注ぎ込んでいる。彼が率いる自由党は、所属議員は6人だけだが、彼の影響力は依然強力だ。彼は1993年に自民党の長期独裁を崩して細川護煕首相が率いる非自民連立政権を誕生させ、2009年8月の衆議院選挙で大勝をおさめ民主党政権のスタートを引き出した。自らは首相にならなかったが、水面下の実力者として首相を凌駕する権力を振り回してきた。
小泉元首相は今回の講演で「首相が原発ゼロに方向を定めれば、与党と野党が共に実現できる」として安倍首相を批判した。小沢代表も「私も野党も原発ゼロを最大の政策目標に掲げている」として呼応した。
安倍政権に打撃を与えられる主要選挙は、来年行われる参議院選挙だ。小泉元首相は講演の後「候補を一本化して“原発ゼロ”を訴えるならば、野党が必ず勝つ」と話した。小沢代表も16日「野党の結集が必要だ」と再度強調した。ただし、小泉元首相は「これ以上選挙運動には関与しない」として一線を引いた。