米国政府が、北朝鮮が国連(UN)安全保障理事会決議を避け、不法な方式で精油製品を密搬入しているという内容の報告書を安保理傘下の対北朝鮮制裁委員会に提出した。米国はこの文書で、対北制裁委が国連加盟国に今年末までに北朝鮮に対する精油製品輸出を禁止するよう通知することを要求した。
米国連代表部は12日、対北制裁委に北朝鮮が1月から5月まで公海上などで船から船に石油をこっそりと受け渡しする不法な方式を通じて、精油製品を譲り受けた回数が少なくとも89回に達するという内容の報告書を提出した。国連安保理は、北朝鮮の核とミサイル実験が続いた昨年12月、国連安保理決議2397号を通じて対北朝鮮精油製品の供給量を既存の200万バレルから50万バレルに縮小した。
米国政府はさらに、北朝鮮が船から船に不法に精油製品を受け渡ししている写真などを証拠として提示し、北朝鮮がこうした方式で不法輸入した精油製品の量がすでに今年の制裁上限である50万バレルを超過したと見られると主張した。こうした米国の主張が受け入れられれば、年内の北朝鮮に対する公式的精油製品輸出は不可能になる。
一例として日本の外務省は4日、北朝鮮船籍の石油運搬船(タンカー)「アンサン1号」が先月29日、東シナ海公海(上海の南東約350キロメートルの海上)で、正体不明の船から何かを受け取っている状況を、海上自衛隊第14護衛隊所属の「せんだい」が確認したとして公開した。日本外務省のホームページには、日本の海上自衛隊が今年に入って6月末までに確認したこうした事例9件を確認できる。
ドナルド・トランプ大統領は、北核問題解決のための朝米間対話が進行しているが、「北朝鮮が非核化するまでは経済制裁を解除できない」と繰り返し強調してきた。しかし、中国やロシアは朝米対話が始まっただけに制裁を緩和しなければならないという立場だ。米国政府の今回の報告書は「非核化なしには制裁解除もない」というトランプ行政府の既存方針を再確認したものとみられる。
特にトランプ大統領は、6日から本格的に始まった米中貿易戦争で、中国が米国の譲歩を引き出すために北朝鮮変数を活用するのではないかと警戒している。彼は9日自身のツイッターに「私は金正恩が私たちがサインし握手した契約を尊重すると信じる。私たちは、北朝鮮の非核化に同意した。しかし、中国が貿易に対する私たちの姿勢を理由に(北朝鮮に)否定的な影響を加えることもありうる。そうならないことを祈る」と書いた。