本文に移動

トランプ大統領、段階的な解決策受け入れる可能性示唆し韓中の折衷案に接近?

登録:2018-05-24 06:07 修正:2018-05-24 06:48
物理的な理由で北朝鮮の核「一挙解決」の困難認め 
先核放棄・後見返りの「ボルトン式リビアモデル」と一線画す 
「迅速かつ段階的」韓中の折衷案に近接 
「金正恩は安全を保障され幸せだろう…最初から言っていた」 
「韓中日が北朝鮮のために非常に多くの資金を投資する」
文在寅大統領が今月22日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領と米国ワシントンのホワイトハウスで会い、握手している=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が22日(現地時間)、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との首脳会談で、来月12日にシンガポールで開かれる朝米首脳会談に対する構想を示した。トランプ大統領はこれまで強く拒否反応を示してきた北朝鮮の「段階的非核化」解決策を受け入れる可能性を残しつつ、体制保証と経済開発支援などを再度確認した。

 トランプ大統領は同日、文大統領との会談に先立ち、北朝鮮の核問題を「一挙に解決」するのは現実的に難しいことを認め、「最短期間での非核化」を強調した。彼は「非核化方式がオールインワン(all in one・一括妥結及び履行)方式になるべきだと思うか、それとも漸進的方式も可能だと見るか」という質問に対し、「もちろん、オールインワン方式がいい。しかし、そうでなければならないだろうか? 私は(そうすべきだと)完全に確言したくない」と答えた。さらに、「オールインワンがかなり望ましい。ところが、そうにはいかない物理的な理由が本当に存在する」とし、「したがって、物理的な理由で非常に短い期間がかかる可能性があるが、(それでも)それは本質的にはオールインワン方式」だと述べた。実際の履行に時間が少しかかっても一括的解決策として見なすことができるという趣旨だ。

 この発言は、既存の「迅速かつ圧縮的な非核化」の原則を固守しながらも、北朝鮮の核の膨大な規模と検証の複雑性のため、一定の部分では段階的履行方式を取るしかないことを認めたものと言える。ニューヨークタイムズもトランプ大統領がこれまで北朝鮮に要求してきた「一挙解決処置」方式から一歩引いて、核兵器プログラムの段階的な廃棄の可能性を残したものと報道した。また、ジョン・ボルトン国家安保補佐官が主張している「先に核を放棄してから、後で見返りを与える」というリビアモデルとも、一線を画したものと見られる。

 これまで韓国と中国は「迅速な非核化」を望む米国と、「段階的かつ同時的非核化」を要求する北朝鮮の意見の相違を調整するため、「迅速で段階的かつ同時的解決策」を提示してきた。トランプ大統領の発言は韓中の妥協案により近づいたものと言える。ただし、これまでトランプ行政府が「漸進的かつ段階的な解決策」を過去政権の過ちだと批判してきたため、明示的・公開的にこれを受け入れるのは難しいかもしれない。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員も、トランプ大統領が「一括妥結を基本とし、段階的履行の可能性を残したものと見ている」と分析した。

 トランプ大統領が“微妙な”立場の変化を示したことで、北朝鮮の最初の可視的な非核化措置とこれに対する米国の相応措置が今後の交渉のカギになるものと予想される。米国は「迅速かつ圧縮的な非核化」を象徴的に示す、既存の核兵器や大陸間弾道ミサイル(ICBM)関連措置を北朝鮮に要求するものと見られており、北朝鮮もこれに対応して高い水準の経済的・安保的見返りを引き出そうとする見通しだ。

 トランプ大統領は、非核化を実施する場合に得られる体制保証と経済支援についても、再度約束した。彼は「彼(金正恩国務委員長)の安全を保障する。私たちは最初からそれについて話してきた」とし、「彼は安全だろうし、幸せだろう」と述べた。大統領府関係者は、韓米首脳会談の後、「完全な非核化に対する北朝鮮の不安感は、体制保障とかかわる問題であり、このため、北朝鮮が確信できるように体制保障と安全部分について協議する必要があるという話が(韓米首脳間で)交わされた」と明らかにした。ク・ガブ北韓大学院大学教授は、「安全措置」の具体的な内容について「議論になった朝鮮半島における核戦略資産の展開を物理的に措置(禁止)することや、平和協定、朝米国交正常化、対敵取引法の廃止などの約束が考えられる」と指摘した。

 非核化に関する第二の相応措置とも言える経済的支援と関連し、トランプ大統領は「韓国や中国、日本と話し合った」とし、「3カ国が喜んで手助けするだろう。北朝鮮を偉大にさせるために非常に多くの資金をつぎ込み、支援するものと信じている」と述べた。また、「我々は韓国を助けた。長い期間、数十億ドルではなく、数兆ドルを費やした。韓国は最も驚くべき国の一つとなった」とし、北朝鮮も韓国と「同じ民族」だと強調した。マイク・ポンペオ国務長官も首脳会談後の記者会見で「金正恩(キム・ジョンウン)が米国の技術投資とノウハウが北朝鮮人たちに真の価値があることを認識していることを実感した」とし、「非核化をしっかり進めれば、米国には北朝鮮人の生活をさらに良くする能力がある」と強調した。

 興味深いのは、トランプ大統領が北朝鮮に投資する国として、米国を取り上げなかった点だ。キム・ジュンヒョン韓東大学教授は「米国が北朝鮮を国際通貨基金(IMF)に加盟できるようにすれば、政府開発援助(ODA)など国際的な投資が可能になる」とし、「制裁を解除し、他の国への投資を可能にするという趣旨の発言」だと話した。

 トランプ大統領は朝鮮半島の統一についても言及した。彼は「彼ら(南北)は一つになるだろうし、『ワン・コリア』に戻るだろう」とし、「双方が望むなら異存はない」と述べた。トランプ大統領が統一について言及したのは今回が初めてだが、原則的なレベルの発言とみられる。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、キム・ジウン、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.k)

https://www.hani.co.kr/arti/international/america/845982.html韓国語原文入力:04:59
訳H.J

関連記事