ドナルド・トランプ米大統領とジョン・ボルトン米ホワイトハウス国家安保補佐官が一斉にニューヨークタイムズの「在韓米軍兵力縮小検討指示」報道を否定して鎮火に乗り出した。
トランプ大統領は4日(現地時間)、テキサス州ダラスで開かれる米国銃器協会の行事に向かうに先立って、ホワイトハウスで「在韓米軍縮小問題が朝米会談のテーブルに上がるか、在韓米軍を撤収する計画はあるか」という記者団の質問に「ない、ない」として「(北朝鮮に撤収を)要求されたことはない」と話した。
トランプ大統領は「軍隊は(交渉の)テーブルにない」と繰り返し強調した。朝米首脳会談で在韓米軍の縮小問題が何らかの形で扱われるという一部の観測を正面から否認した。
しかし、トランプ大統領の“内心”はその後にあらわれた。彼は「費用を節約したい。そこ(韓国)に3万2千人の軍隊がいる」と話した。在韓米軍の撤収や縮小を、6月初めに予想される史上初の朝米首脳会談の議題にするつもりはないが、韓国と進めている在韓米軍の防衛費分担金交渉で大幅譲歩を引き出したいという意向を明らかにしたものと分析される。
韓米両国は今年3月、2019年から適用される第10次防衛費分担金交渉を開始した。2014年1月に妥結した9次交渉では、2013年の総額(8695億ウォン=約870億円)対比で5.8%引き上げられた。より多くの分担金を勝ち取ろうとする米国政府の圧迫が強まると予想される。
ボルトン補佐官も積極的にニューヨークタイムズの報道を否定した。彼はこの日、ホワイトハウスを通じて「記事は完全にナンセンスだ。トランプ大統領が国防部に在韓米軍の兵力縮小オプションを提供するよう要求したことはない」と明らかにした。ホワイトハウスは続けて発表したボルトン補佐官とチョン・ウィヨン韓国大統領府国家安保室長の面談に関連する報道資料でも「韓米両国間に防衛態勢を変える計画はないことを再確認した」と明らかにした。米国行政府が在韓米軍縮小論を急いで鎮火に出たことは、朝米首脳会談を目前にした時点で、この問題が韓米同盟の亀裂として映ることを憂慮したためと見られる。
これに先立ちニューヨークタイムズは4日、トランプ大統領が「在韓米軍縮小と関連したオプション(選択肢)を検討し報告するよう国防部に指示した」と報道した。この報道は、トランプ大統領が在韓米軍の撤収・縮小問題と関連して北朝鮮に譲歩することもありうるというニュアンスを振りまいた。こうした理由から、一部ではこの報道について「朝米首脳会談に対する米国主流社会の牽制ではないか」という分析を出している。在韓米軍平沢(ピョンテク)・烏山(オサン)基地は、中国の首都である北京からわずか1000キロメートルしか離れておらず、米国の立場からも戦略的価値がきわめて高い。
一方、日本の読売新聞は5日、複数の米日関係者の話を引用して、4月17~18日に米国フロリダ州のマールアラーゴ・リゾートで開かれた米日首脳会談で、トランプ大統領が在韓米軍を撤収したり縮小した時に発生しうる影響について、安倍晋三首相に意見を求めたと報道した。安倍首相は、在韓米軍の撤収や縮小は東アジアの軍事バランスを崩す恐れがあるとして反対の意思を明らかにしたと伝えられた。