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「米国『301条』による対中貿易制裁発表が間近に迫る」

登録:2017-08-03 03:18 修正:2017-08-03 06:56
北朝鮮核問題の解決に非協力的な中国に対する米国の報復の一環 
死文化された301条動員した一方的通商報復
米国トランプ政権の「米国優先主義」政策は自由貿易と市場の開放という既存の秩序を揺るがし、世界経済に保護貿易強化と通商摩擦の新たな危険要素として浮上している。写真は釜山港新港埠頭に接岸したコンテナ船に輸出貨物を船積みする姿/聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米国政府が中国の知的財産権侵害と関連し、強力な貿易制裁を早ければ今週中にも発表する見込みだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリート・ジャーナル紙などの米国マスコミは2日付で、米国高官らを引用し、トランプ政権が外国企業の中国現地の子会社や協力企業に技術移転を求める中国の知的財産権体制について、調査を開始するための「真摯な討論」を進めていると報じた。

 トランプ政権の対中貿易制裁の動きは、中国で営業中の米国や欧州連合(EU)などの外国企業が憂慮を示している知的財産権問題を狙ったものだが、最近北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験などに中国が消極的に対処したことに対する報復の性格もあると見られている。

 特に、トランプ政権は、1974年に制定され、米国政府の代表的貿易報復手段となってきた通商法第301条を通じた貿易制裁を考慮しているとされる。通商法第301条は、不公正貿易行為を行う国の製品に懲罰関税を付加する権限など、大統領に幅広い貿易報復措置を付与している。1988年、包括通商法は第301条を大幅改定し、米通商代表部が各国の貿易慣行を点検し、通商報復を行う権限を与えた。これは「スーパー301条」と呼ばれてきた。しかし、1995年に世界貿易機関(WTO)が発足してからは、事実上死文化された。トランプ政権がこれを復活させれば、世界貿易機関体制より米国の一方的な法執行に重点を置くというシグナルを送ることになる。

 通商法第301条を適用すれば、米政府は中国の貿易行為に対する調査に着手し、数カ月以内に中国産輸入品に対する関税引き上げや他の制裁を行うことができる。対中国貿易制裁は、早ければ、今週中に発表される見通しだが、トランプ政権内部でも対中貿易制裁をめぐり強硬・穏健派の間の意見の隔たりが大きく、貿易制裁の処置が縮小されるか、発表が遅延される可能性もあると、「フィナンシャル・タイムズ」が報じた。

 1970年代に制定された国際緊急経済権限法の適用も代案として浮上している。大統領が国際緊急経済権を発動し、幅広い権限を行使するものだ。米政府は、中国の「メイド・イン・チャイナ2025」計画に伴い外国企業に核心技術の移転を圧迫する中国の要求を拒否する案も模索していると、同紙は伝えた。

 マスコミは、トランプ政権が対中貿易制裁を発表した場合、対中国政策の大きな転換を象徴するものになると見ている。トランプ大統領は大統領選挙の過程で中国との貿易問題で強硬な立場を標榜したが、北朝鮮の核開発問題に対する中国の協力などを求めて慎重な姿勢を示してきた。トランプ大統領は、北朝鮮が2回目の大陸間弾道ミサイルの発射実験を行った先月30日、ツイッターを通じて「中国にはとても失望した。私たちの愚かな過去の指導者らが中国に毎年貿易で数千億ドルをもうけさせてきたのに、中国は北朝鮮と関連して私たちに何もしていない」と失望感をあらわにした。中国が北朝鮮の核開発問題を解決できなければ、今後通商報復に踏み切るという示唆だった。

 ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、デヴィッド・イグネイシャス氏も同紙の1日付のコラムで、北朝鮮の核問題と関連してトランプ政権が強硬な貿易制裁を準備しているとしながら、ウィルバー・ロス商務長官が立案した穏健な対中国貿易案が先月ホワイトハウスに無視され、中国と長官がいずれも侮辱感を感じたという内容を伝えた。

チョン・ウィギル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/805269.html 韓国語原文入力:2017-08-02 20:00
訳H.J(1762字)

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