米国務省が4年ぶりに中国を人身売買の最下位ランクに降格させた。中国は人権問題に敏感に反応してきたが、今回の措置は中国の「消極的」な対北朝鮮圧迫に対する米国側の不満も反映されており、米中間の緊張が高まる兆しを見せている。
国務省は27日発表した「2017年人身売買報告書」で、中国を最下位ランクの3等級国家に分類したと明らかにした。米国は2014年から中国を「監視ランク」である2等級グループに含めてきた。
3等級は人身売買防止のための努力をしないことはもちろん、最小限の基準と規定も備えていない国として評価されるということを意味する。北朝鮮、ロシア、シリアなどが3等級に分類されており、中国は今年コンゴおよびコンゴ民主共和国とともに3等級に落ちた。
国務省は中国を3等級に分類した理由に関して、脱北者を北朝鮮に送還する慣行や北西部の新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する強制労働を最大の問題点として指摘した。
特にレックス・ティラーソン長官は、報告書を発表する席で「中国にいる北朝鮮強制労働者たちを含め、人身売買に関連する共謀を終息させるための真剣な処置を取っていないこと」も部分的に中国のランクを下げた理由だと説明した。ティラーソン長官は「国家であれ非国家行為者であれ、人身売買を活用すれば国家安保の脅威となり得る」とし、「北朝鮮は不法収入源を強制労働に依存している。5~8万人の北朝鮮人がロシアや中国など海外で強制労働をしている」と主張した。
国務省の報告書およびティラーソン長官の発言と関連して、ワシントンのある消息筋は「米国が北朝鮮の核問題や貿易の争点と関連して中国をさらに追い込もうというシグナルと見られる」と解釈した。ロイター通信も「トランプ大統領が北朝鮮問題および二者貿易問題と関連して、中国の努力不足にますます失望している」という米国高官らの話を引用して報道した。同通信はトランプ大統領がウィルバー・ロス商務長官が取り上げた中国産の鉄鋼関税の賦課を含め、いくつかの貿易措置を検討していると伝えた。
ティラーソン長官は先月3日、国務省の職員らを対象にした演説で「自由、人間の尊厳性などを他の国家に対して過度に問い詰めれば、安保と経済の利益の障害物を作る」と強調したことがある。しかし今回の処置は、人権問題を安保および貿易と連携させ、中国を圧迫する下位の手段に転落させたという評価を避けられない。
これに対して中国の陸慷外交部報道官は「中国は米国が自分の国内法で他国の人身売買犯罪に対して勝手に主張することに断固反対する」とし、「人身売買犯罪をなくすための中国の意志は確固としており、その成果もまた明白だ」と反論した。
一方、ミャンマーやマレーシア、カタールなどを3等級から2等級に上方修正したことに対しても、特に根拠がないという批判が出ている。また、ドナルド・トランプ大統領の娘のイヴァンカ氏がこの日報告書発表の席に出席したことと関連して、ニューヨークタイムズは「イヴァンカ所有ブランドの靴を生産する中国工場の労働条件を調査した3人の活動家たちが行方不明になり批判を受けている」と皮肉った。