米国と中国が21日(現地時間)、ワシントンで開かれた初の両国間外交・安保対話で、国連安全保障理事会が制裁対象に指定した北朝鮮の個人および企業と自国企業が取り引きできなくすることで合意した。最近になって中国の対北朝鮮圧迫意志に疑いを抱き始めた米国政府が、中国に対する手綱を再びつかんだと分析される。
米国側からはティラーソン国務長官とマティス国防長官、中国側からは楊潔チ外交担当国務委員と房峰輝・人民解放軍総参謀長が会議をリードした。4月の米中首脳会談での合意により新設された会議だ。米国と中国の外交および国防長官が一堂に集まって会議を開いたことは前例がない。
ティラーソン長官は会議後の記者会見で「私たちは国連安保理のすべての(対北朝鮮制裁)関連決議を忠実に履行するという公約を再確認した」とし、代表的事例として安保理制裁の対象に上がった北朝鮮企業との取り引き禁止を挙げた。米国政府が中国企業と個人10カ所余りの“不法な”対北朝鮮取り引きを中断させるようにとの要請を中国政府にしたことが分かり、この問題は会談前から争点になっていた。中国政府は米国が名指しした自国企業10社のうち一部に対しては“不法取り引き”の事実を否定してきたが、今回の外交・安保対話で最大限の協力意思を表明したとみられる。中国側としては、正常取り引きについても制裁対象になりうる米国の“セカンダリーボイコット”措置よりはましだと判断したとみられる。
北朝鮮核解決の各論では異見を見せた。ティラーソン長官は「領域内の緊張高揚を防ぐことを望むなら、北朝鮮の政権に経済的・外交的影響力をさらに行使しなければならない責任があるという点を中国側に再び周知させた」として中国を圧迫した。これに対抗して中国側は双軌並行(朝鮮半島の非核化プロセスと朝米平和協定交渉)と、双中断(北朝鮮の核・ミサイル挑発と韓米連合軍事訓練の中断)提案が、国際社会の支持を得たとし、関連各国もこれを積極的に受け入れなければならないと強調するなど、交渉に傍点をつけた。
また、THAADと関連して中国側は「米国の韓国へのTHAAD配備反対を再び明言し、関連配備プロセスを中断し撤収するよう要求した」と明らかにした。マティス長官が記者会見で「私たちと同盟を防御するために、必要な措置を今後も取っていく」と強調した点に照らしてみれば、米国はTHAAD配備強行の立場を伝達したと考えられる。
平正心を失わないことで有名なマティス長官は、記者会見の途中で米国人大学生のオットー・ワームビアさん(22)の死亡に言及し、「元気な状態で北朝鮮に行った若者が、ささいなことでほとんど死んで帰国し、こちらに到着した後すぐに亡くなった」として「こうした状況をとうてい理解することはできない」と話した。
今回の米中外交・安保対話は大きな異見を見せず、4月の米中首脳会談で形成された比較的友好的な基調を維持したと見られる。トランプ大統領が今年中に中国を国賓訪問することが確定し、国防分野では最大限早期に両国国防長官の相互訪問、および米合同参謀議長の訪中を実現することにした。中国の南シナ海人工島建設、および軍事基地化問題と関連しては、米国の抗議レベルが多少上がったように見える。