ドナルド・トランプ政権の外交安保首長である国務・国防・情報の3省長官が合同声明の形で26日(現地時間)に対北朝鮮政策を発表したことは、その公式性や対外メッセージの側面で相当な重みを持つ。また、断続的に取り上げられてきた「対北朝鮮交渉を通じた非核化」を合同声明の形で公式化した点も、トランプ政権がこれまで見せた対北朝鮮政策基調の混乱に照らしてみると意味がある。
この日の「3省長官合同声明」形式には前例がない。トランプ政権が北朝鮮核問題の解決を対外政策の最優先順位として扱うという宣言であり、今後外交資源などを集中させるという意志の表現と見ることができる。
これには一次的に、トランプ大統領の任期4年中に北朝鮮が米国本土に到達させうる核・ミサイル能力を備えることができるという脅威の評価が基盤になっている。また、トランプ大統領が就任100日(29日)を控え、国内問題で目立った成果を示せていない状況で、対外問題に突破口を見出すという意図も込められているものと思われる。実際、外交関係者の間ではトランプ大統領がシリアに対する空襲以後支持率が上がると、北朝鮮核問題に強い関心を見せ始めたという話が広がっている。
トランプ大統領が内政の不振を外交で挽回しようとするなら、北朝鮮核問題の解決プロセスは「大きなチャンス」にもなり得るし、「大きなリスク」にもなり得る。北朝鮮核問題の「現状維持」に重きを置いていたバラク・オバマ政権と比較すると、「現状変更」に向けた強い動力が生じたという点ではチャンスだ。しかし、目立った成果が得られなければ、トランプ大統領が急に極端な方向へ進路変更したり、放置する余地は依然として残っている。これはともすれば朝鮮半島にとって大きなリスク要素として作用する可能性がある。
内容的に見ると、「中国役割論」や短期的な「最高の圧迫」を通じた「北朝鮮の非核化交渉への復帰」誘導はこれまでメディアを通じて流れていたことと大きくは変わらない。しかし、「平和的方法による朝鮮半島非核化」という明確な言明を通じて、北朝鮮に対する軍事行動や「金正恩(キム・ジョンウン)政権の交替」を選択肢から事実上除外したことには意味がある。これは今後の対北朝鮮交渉のための基本的な土台だからだ。さらに「朝鮮半島非核化」を目標に掲げ、韓国に戦術核配備などをしないという意思を明確にした点も評価できる部分だ。
トランプ政権の対北朝鮮政策の青写真は出たが、細部の内容を満たしていくプロセスがより重要とも言える。先ず北朝鮮非核化に対する相応の対価は示されていない。交渉開始に向けた北朝鮮の初期措置をどの程度の水位にするかも決めなければならない。オバマ政権は寧辺(ヨンビョン)核施設の凍結や国際原子力機関の査察などを交渉開始の前提条件として掲げ、事実上交渉は実現できなかった。ある意味、このような細部的な事項がトランプ政権の北朝鮮核解決の意志の分かれ目となり、同時に次期韓国政府の外交的力量が大きな役割を果たし得る。
また、北朝鮮核交渉が始まるまではトランプ政権の対北朝鮮圧迫と高高度防衛ミサイル(THAAD)など軍事的抑止手段の増強配備が続くと予想される。スピーディに制裁局面から交渉局面に進むことができなければ、「強対強」構図が深まるおそれがある。米太平洋軍司令部のハリー・ハリス司令官もこの日下院聴聞会で「北朝鮮が米国に脅威を加えることのできる軍事的能力を備えることになれば、これは米国にとってターニングポイントになるだろう」と話した。
一方、この日米上院議員100人全員を対象にした対北朝鮮政策説明会は公開されたものと大きな違いはなかったと議員たちは明らかにした。トランプ大統領就任100日を浮き彫りにするための引き立て役行事の性格が強いという批判とともに、対北朝鮮政策と関連して議会と協力する姿を見せたという評価が同時に出ている。