THAAD(高高度防衛ミサイル)の韓国配備と関連した中国の圧迫性措置が相次ぐ中で、中国当局がささいな消防法違反などを理由に中国国内のロッテマート店舗を標的にして大量の営業停止措置を乱発している。こうした動きは当分続き、営業停止されるロッテマートはさらに増えるとみられる。
6日、中国のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)微博で「ロッテマート」を検索すれば、各地でロッテマートが店を閉めたというニュースと共に写真が上がっている。5日、消防法違反などを理由にロッテマートの4店舗が営業停止処分を受けた後、6日午後4時(現地時間)までに中国国内のロッテマートの営業停止店舗数は江蘇省で15カ所など華東法人20カ所と遼寧省2カ所、河北省1カ所など計23カ所に増えた。現在、中国現地のロッテマート店舗が合計99カ所であることを考慮すれば、4カ所中1カ所が店を閉めた形だが、この数字は今後継続して増える見込みだ。
ロッテ側は違反事項を補完して再開を急ぐ立場だが、当局の決定文はすでにおよそ一カ月間の期間を摘示している。江蘇省の蘇州店に貼られた「臨時封鎖決定書」によれば、火災警報システムの正常作動不可▽スプリンクラーの正常作動不可▽防火ドア一部破損▽消防士ポンプ室安全出口の不備など8項目を理由に挙げて、6日から来月4日まで一カ月間店舗を閉鎖させるという内容だ。
中国政府はこうした事態を事実上傍観している。中国外交部の耿爽報道官は6日、定例ブリーフィングで「THAAD用地決定後、中国ロッテマート23店舗が店を閉めたことに対してどう思うか」という質問に対して「私たちは韓国企業を含めて外国企業が中国に来て投資することを歓迎し、合法的な権益を法に則り保護している」としながら「同時に、外国企業の中国での経営は、必ず法と規定に従わなければならない」と話した。
ロッテマートとTHAAD配備に抗議するデモのニュースも相次いでいる。SNSでは、河南省鄭州市の広場で中国国旗を掲げ国歌が鳴り響く中で重機を用いて焼酎「チョウムチョロム(初めてのように)」などのロッテ製品を踏み潰すデモ動画も流布された。大型ディスカウントストア「タルンパ」は5日、中国国内のすべての売り場からロッテ関連商品を撤去し販売を中止して返品することにしたと明らかにした。
ロッテとは関係がなくとも、韓国製品だという理由だけで中国人の抗議を受ける状況も広がっている。SNSに流れているある動画によれば、中国のあるデパートのアモーレパシフィック・ラネージュ・メイクアップ試演行事会場で、一人の中国人男性が「中国の門前に大砲部隊を構える韓国人は消え失せろ」と批判した。彼は「全中国がロッテをボイコットしているのに、お前たちは韓国の商品を持って来るのか」と難詰し、中国人の行事関係者たちには「中国人がなぜ韓国の会社で仕事をするのか」とも言った。動画では周囲の人々も「そうだ」として応じる声も聞こえる。